1日に7000人の患者にオンライン診療を提供するヘルスケア系スタートアップ企業がある。インド南部の大都市、バンガロールに拠点を置くDocsAppだ。2013年に創業した同社がオンライン診療プラットフォームを構築し、登録した民間医療機関所属の医師が診療を行っている。2016年に約2000人だった月間の有料オンライン診療数は、33カ月で約100倍まで増加した。

 DocsAppでジェネラルマネージャーを務める段原亮治氏は、インドのテクノロジーに衝撃を受け同社に転職。インドを中心にアジア向け投資を行うベンチャーキャピタルのリブライトパートナーに所属し、DocsAppなど現地スタートアップを支援している。インドのオンライン診療における同社のビジネス価値は注目され、「日本企業の数社から出資を受けている」と同氏は語る。

診療現場で起きている医療需給のミスマッチ

 インドでは民間医療機関が、全医療機関数の約75%を占めている。特に規模の大きな民間医療機関は株式会社の医療チェーンを形成しており、大都市での高次医療を中心に展開している。

 近年、こうした医療チェーンは人口の少ない都市や2次医療などにも進出しているが、大都市と地方の医療体制格差が大きな課題だという。「約8割の専門医が5都市に集中しているが、約8割の医療ニーズはその5都市以外にある」(段原氏)という。

 インドでは日本のような皆保険制度はなく、民間医療機関を受診する患者はすべて自己負担。「医療需給のミスマッチ解消と、対面診療と比べて低料金で、移動費負担もなく手軽に受診・医療相談ができる仕組みづくりが必要」。段原氏はオンライン診療サービス提供の背景をこう説明する。