HIROTSUバイオサイエンスは、線虫がん検査「N-NOSE」の一般発売を2020年10月末に開始する。同年9月27日に福岡県で開催された講演会で、同社 代表取締役の広津崇亮氏が明らかにした。

2020年9月27日に「福岡市保健環境学習室 まもるーむ福岡」で開催された講演会後、記者の質問に応じる広津氏(写真:Beyond Healthが撮影)

 N-NOSEは既に同年1月に実用化しているが、これまでは法人や健康保険組合などを通した検査、あるいは特定の医療機関での一般検査のみの対応となっていた(関連記事:線虫がん検査、一般に受けられる施設が明らかに)。

 新たに開始する一般発売では、検査希望者がインターネットで予約すると、自宅に検査キットが届く。自宅で採尿した検体は、東京もしくは福岡の同社拠点に直接持参する。その後、結果が自宅に郵送されるという流れである。検査料金は9800円(税抜)。

 一般発売に踏み切った背景には、検査体制の拡充がある。同社は2020年7月、全ての検査解析プロセスの完全自動化に成功したことを発表(関連記事:線虫がん検査、全ての検査解析プロセスを完全自動化)。これにより、当初は年間25万検体としていた検査規模が、直近では「年間換算で約50万検体の規模」(広津氏)まで増強できているという。

開発した全自動解析装置(出所:HIROTSUバイオサイエンス)

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、受診や検診控えが進んでいることも一般発売を急いだ理由だ。自宅で簡単に検査できる方法を導入することで、がんの早期発見を後押しする狙いである。

いずれは郵送で返送してもらう方式も

 今回の一般発売のスキームでは、前述の通り、自宅で採尿した検体を東京もしくは福岡の同社拠点に直接持参する形態を採る。これについて広津氏は、「尿検体を特に冷凍などせず郵送で送った場合でも、尿の鮮度面などで検査結果に影響が出ないことが検証できれば、いずれは郵送で返送してもらう方式も考えたい」とした。

 N-NOSEは現在、15種類のがんの「どれかがある」というリスクを判定できる。これに対して、がん種を特定できる“特殊線虫”の開発を進めていることは既に明らかにしている(関連記事:「線虫がん検査」実用化は予定通りに、次はすい臓がん向け“特殊線虫”も)。第1弾として、すい臓がんをターゲットにした特殊線虫を「2022年に実用化したい」(広津氏)との見通しを今回あらためて示した。

(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)