●HoloAsh, Inc.

 HoloAsh, Inc.ではADHD(注意欠陥・多動障害)患者に特化した独自デバイスとソフトウエアの開発・提供を行う。同社CEOの岸慶紀氏は自らがADHD障害患者であり、「私のような人間が生きやすい社会を作りたい」とのビジョンから起業に至った。

 「忘れ物が多かったり、スケジュールに遅れたり。ADHDの人たちは生活の中で疎外感を感じることも多い。一方でクリエイティブな能力に長け、その人にしかない能力を持っている人が多いのも事実。究極的にはADHDだけでなく、精神疾患、LGBT、その他の発達障害の人たちといった、目に見えない社会的弱者を救いたい」(岸氏)

HoloAsh, Inc. CEOの岸慶紀氏

 米サンフランシスコに拠点を置くだけに、同社のマーケットは米国となる。岸氏によれば米国には2000万人のADHD患者がいるものの、セラピー料金は非常に高額で45分で200ドル以上もかかる。こうした状況を打破するために、「AIが悩みの相談に乗り、24時間いつでもメンタルサポートが受けられる」(岸氏)独自デバイスとソフトウエア開発に思い至った。

 開発中の独自デバイスは親しみやすいホログラフィックインタフェースを採用。擬人化したインタフェースを相手に、デバイスに語りかける形でセラピーを受けられる。ソフトウエアのエンジンはMotivational Interviewingというセラピー手法に基づく。先行してアプリを展開しており、これまでに約5000件のコミュニケーションデータを収集済み。このデータをフィードバックしてデバイスのブラッシュアップやAI開発につなげる。

独自デバイスによるセラピーのイメージ

 ビジネスモデルはBtoCとBtoBを想定する。BtoCはデバイス販売とソフトウエアの月額9ドルでの課金。「1回200ドルの負担が、いつでも好きなときにセラピーを受けられて9ドルになる」(岸氏)。BtoBは製薬会社や保険会社に向け、加工した取得データの販売を行う。そこには、デジタル創薬やデジタル保険に役立ててほしいとの狙いがある。米国で足下を固めた後、日本に進出する構えだ。

●エーテンラボ

 日々の生活の中で行動変容を促すためにはどうすべきか。エーテンラボは、この難しい課題にスマホアプリでチャレンジしている。同社が提供する三日坊主防止アプリの「みんチャレ」は、5人1組のチームを組んでお互いに励まし合いながら生活習慣を変えていくピアサポートアプリだ。

 ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」に端を発し、2017年2月に独立。同社代表取締役 CEOの長坂 剛氏の父親が高血圧が原因で脳幹梗塞によって帰らぬ人となり、生活習慣病予防を痛感したことも開発動機の1つになっている。

エーテンラボ 代表取締役 CEOの長坂 剛氏

 「同じ習慣を身につけたい人たちが匿名で5人のチームを作り、その日にクリアした行動の証拠写真を投稿することで、励まし合って習慣づけることが目的。現在、デイリーのアクティブユーザーが1万3000人おり、成功率は69%。1人で習慣を身につけようとしてもほとんど身につかないが、5人1組だと8倍の効果があることがわかった」(長坂氏)

みんチャレの概要

 その性格上、健康行動に特化したものではない。それゆえ幅広い分野で利用され、数多くのユーザーを獲得してきた。一方で長坂氏は、生活習慣病予防として広く使われている事実に注目。今後は医学的な方向へとシフトし、2019年後半からは神奈川県や東海大学と共同で臨床試験を実施する。その上で「医学的エビデンスを積み重ねて、将来的には糖尿病の治療ガイドラインへの掲載を目指す。医師が患者に薦める第一選択アプリになるようにしたい」(長坂氏)と意欲を見せた。