●HERBIO

 HERBIOでは、へそに装着して体温を計測するウエアラブルデバイス「picot」を開発している。同社CEO 田中彩諭理氏の生理痛体験、そして自身の祖父の死から「基礎体温、深部体温の重要性を実感した」(田中氏)のが発想の原点だ。

HERBIO CEOの田中彩諭理氏

 舌下、耳中、直腸といった伝統的な計測方法に代わるものとして衣服内や腕表面などに装着するウエアラブルデバイスが出てきている。しかし田中氏は「こうしたデバイスはモニタリングが不可能、計測の不正確さ、装着時の違和感の強さといった理由で大きな欠点がある」と指摘。これらの課題を解決する策としてpicotが生まれた。

 へそを選んだ理由としては、汗腺を持たず汗をかかないこと、外界に対しての障害要素がないことを挙げた。就寝中の装着実験では95%が違和感がないとし、1時間の充電で35時間の駆動が可能。また、1〜10分の深部体温を計測できる安定性もpicotのメリットだという。

picotのメリット

 マネタイズはBtoC、BtoBの2つ。個人向けには基礎体温ウエアラブルとしてアプリとともに使ってもらうことを想定し、法人向けはデータ提供や一括デバイス販売などを考えている。「基礎体温計測だけではなく、幼児保育、在宅医療、熱中症予防などのニーズがある。それらをすべて含めると1000億円以上のマーケットになる」(田中氏)。すでにサントリーやフジクラと実証実験を行っており、今後の方向性を探る。

 田中氏は「将来的には体温データを軸に、リアルな体調のパーソナライズと看病、体調管理までを網羅したい」と展望を語る。デバイスのみでは他社に追随されてしまうことから、体温計測のアルゴリズムで特許を取得したいとも話す。そのために2人の体温研究専門家を擁し、産婦人科や医療機関とも連携していく予定だ。

●シルタス

 シルタスが提供するのは“買い物をするだけで健康になる”とうたう、斬新な同名の栄養管理アプリだ。アプリにポイントカードを登録して、その購買履歴から購入した食品の栄養情報を可視化。ユーザーに日々の栄養バランスをフィードバックする。すなわち、購買と栄養のビッグデータをかけ合わせたサービスである。

同社代表取締役 小原一樹氏は「健康寿命延伸は社会のペインだが、個人のペインにはつながらない。だからこそ我々は、誰もができる栄養管理サービスを提供する」と話す。購買履歴から栄養に換算するためにはその食材が何グラムかを知る必要があるが、同社では過去のビッグデータを活用して「リンゴ1袋、マグロ1パックがどれだけなのかを推測できる」(小原氏)としている。

シルタス 代表取締役の小原一樹氏

 2019年3月から神戸市内のダイエー13店舗と連携して導入を開始。7月には東京都内2店舗も加わり、徐々に輪が広がりつつある。「導入した流通・食品企業は、来店頻度、利用金額も向上。ユーザーは自分が不足している栄養をわかった上で買い物するようになった。きちんとビジネスとして成立することが証明された」(小原氏)。

シルタスを全国に拡大するのが狙い

 スマホユーザー間でもアプリによる日常的な栄養管理は普及してきたものの、これまで食事データ、栄養データは自分で登録する必要があった。小原氏は自動で収集できる長所を強調し、「データを囲い込むのではなく、保険や既存のヘルスケアのサービス、ECとどんどん連携していきたい」と語った。