「虚偽申告の防止と正確な測定にコミットする」とキュア・アップ

 続いて登壇したキュア・アップ COOの宮田尚氏は、とよなか卒煙プロジェクトで利用する「ascure卒煙プログラム」の概要などについて説明した。

キュア・アップ COOの宮田尚氏

 ascure卒煙プログラムは、同社が展開する法人向け事業の一つ。「アプリ」+「オンライン面談」+「医薬品」で構成する完全オンラインの禁煙プログラムだ。従来の禁煙プログラムには「禁煙外来」などがあるが、これには「始めづらい」「支援が不足」「期間が短い」などの課題があり、広く普及するには至っていない。実際、禁煙治療を開始してから1年後に約70%が再喫煙に戻ってしまう状況にあるそうだ。その要因として宮田氏は「心理的依存へのフォローが不十分」「副作用が強く、自動車運転をする人には制約がある」などを挙げる。

 そこでascure卒煙プログラムでは、心理的依存をアプリや専門家でサポートする仕組みを導入。独自の医学知見を組み込んだアプリで、利用者それぞれに合った内容とタイミングで卒煙支援を提供。指導者にも、利用者ごとに支援すべきポイントを伝える。さらに、従来の禁煙プログラムでは3カ月間と短かったサポート期間を6カ月間に設定し、禁煙に失敗しがちな3~5カ月目に対してもしっかりサポートするなど、「成果を重視する民間企業の知恵を反映している」(宮田氏)。実際、従来の禁煙プログラムと比較しても、非常に良好な成績を上げているという。

 今回の事業の成果指標としては、ascure卒煙プログラムへの参加者数や成功実績を設定。成功の指標となる禁煙継続の確認についても、自己申告だけでなく検査キット(だ液検査)による客観的な測定を追加し、「虚偽申告の防止と正確な測定にコミットしていく」(宮田氏)とした。

今回の予算規模は上限額6100万円

 次に、豊中市 健康医療部 健康政策課 主幹の岸田久世氏が登壇。今回、同市がSIBを活用するに至った経緯として、「資金調達の仕方が市の方針(行財政運営方針)に合致したから」と述べた。

豊中市 健康医療部 健康政策課 主幹の岸田久世氏

 保険分野は財政支出の削減対象になりやすいため、「成功報酬は非常に興味があり、新たなスキームとして取り組むことができた」と岸田氏は振り返る。また、SIBは資金提供者からの事業進捗に対するチェックが働くため、「市民に対して、市の取り組みへの理解の促進が図れる」(同氏)と期待する。

 今回の予算規模は上限額6100万円。禁煙外来や他の禁煙支援などの費用と医療費削減効果額との比較などの観点から設定した。期間については、禁煙外来を参考にするとともに、民間事業者の創意工夫を踏まえて、2019年度~2021年度の複数年を設定したという。禁煙の成否は検査キットなどによる客観的なデータで判別できるため、評価機関は設定していない。事業参加者は計900人を目標とし、禁煙成功率50%を見込んでいるとした。