効率的・効果的なオンラインコミュニケーションが可能に

 F.CESSでは、1つのシステム上で実習の計画・実施・評価・改善ができる。学生用電子カルテの記載が病院で実運用している電子カルテシステムと連携し、学生と教員がオンラインで質問・指導などのコミュニケーションを図れる。実習データを蓄積できるため、実習を行う診療科間での情報共有も可能だ。

実際の電子カルテ画面を参照しながら学生用電子カルテの記載が可能。画面右のコミュニケーションボードで学生と教員のコミュニケーションができる(出所:福井大学)

 学生のカルテ記載については従来も電子カルテで可能だったが、診療端末とは別に学生用端末を用意・設定する必要があったという。「F.CESSでは実際に運用している電子カルテの画面を参照表示させ、学生用カルテを記載できるようにした。その日の診療録のみが学生と教員がやり取りするコミュニケーションボードに反映されるため、学生は記載内容などに関して疑問点を質問したり、教員は回答やコメントを返したりして、効率的・効果的なオンラインコミュニケーションが可能になる」(安倍氏)。

 学生が実習で経験しなければならない医行為と疾患はカリキュラムのガイドラインに定められているが、自身がどれを経験したかはシステム上に逐次入力できる。「個々の達成率と学年達成率が自動表示されるので進捗度が可視化され、不足している経験や達成度把握が容易になる」(安倍氏)。

 こうした実習記録のほか、学生評価や診療科評価などのデータは年度を超えて履歴として蓄積される。このため、学生は自らの実習データの振り返りがいつでも容易にできるという。

学生が経験した医行為と疾患の逐次記録により、実習の達成度把握が容易(出所:福井大学)

 福井大学医学部では2018年度からF.CESSを運用しており、学生および教員に対するアンケートを実施した。その結果について安倍氏は、「学生からは『診療に参加している実感が持てる』、教員からは『学生への丁寧な返信が、やる気を起こさせる原動力になっている』などの評価を得た。見学型から診療参加型への転換が実際に進み、電子化したことで効率的・機能的な実習指導への改善が見られる」と話す。