マンガの持つポテンシャルに期待

 そうした中で、医療情報を届けるツールの1つとして期待されるのが「マンガ」だ。文字や写真、グラフだけが並ぶインターネットの情報ではイメージしにくい部分もあるだけに、疑似体験しやすく、感情も入りやすいマンガであればイメージも容易だ。

 『NS’あおい』や『町医者ジャンボ』など、医療従事者のマンガを手掛けているこしの氏は、「患者と医療従事者が信頼関係をどう構築していくか。自分はそういったマンガを描きたい」と自身の方向性を表現する。また、その作品がしっかり描けていれば、それを読んだ人にも「医師や患者の想いを理解してもらえるはず」と、マンガの持つポテンシャルにも期待を寄せる。

マンガ家のこしのりょう氏

 このポテンシャルを生かし、まさに医療に関するコミュニケーションギャップを改善しようというのが「医療マンガ大賞」である。今回用意された10点の原作エピソードのうち、「転院/退院」「人生の最終段階」「脳卒中」という3テーマ×2視点(患者側 and 医療従事者側)の計6点はメディカルノートが監修した。

 特に「脳卒中」に関しては、監修に携わった井上氏の実体験も大きく反映されており、「自身の母親でさえ、脳卒中の兆候である体のちょっとした“しびれ”を放っておくほど意識が低かった」と当時を振り返った。一歩間違えれば、後遺症が残ってしまう可能性もあるだけに、「そういった人を1人でも出さない」ために選ばれたそうだ。