簡易な質問票だけでCOPDを早期拾い上げ

 そうした事例の1つが、2018年9月に沖縄県、那覇市医師会、慶應義塾と包括的連携に関する協定を結んで進めているCOPDの早期診断プロジェクトだ。

 沖縄県医師会と那覇市医師会の理事を務める、那覇西クリニック診療部長の玉城研太朗氏が登壇、「沖縄県における地域医療連携の取り組みとその進歩」と題して、研究の進捗や臨床での課題、今後の展望などを述べた。

那覇西クリニック診療部長の玉城研太朗氏

 玉城氏は、沖縄県民の健康問題についてまず説明。かつて「日本一の長寿県」と見なされていたが、2017年は女性こそ平均寿命が全国7位であるものの、男性は36位に転落。男性の死亡率は、今では35~65歳の年齢層では全国でワースト3位以内となっている。沖縄県医師会では、65歳未満の健康悪化や死亡率上昇に対処するため、「働き盛り世代の健康作り」を掲げて活動を広げようとする。

 玉城氏も医師会理事として、県内の課題を県内で解決すべく、複数のプロジェクトを進める。例えば、八重山諸島で乳がんの治療にうまく対応できないといった課題に対して、県内の健康意識を高めるなどの啓発活動を行う「沖縄のすみずみプロジェクト」、抗がん剤による妊孕性低下に対処する「沖縄県妊娠期がん診療ネットワーク協議会」、離島での医療を支える「離島・遠隔地医療連携体制」である。

 そうした中で、今回のプロジェクトにも参画しCOPDの問題に取り組んでいる。沖縄県はCOPDによる死亡率が全国ワースト1位だという。現在、那覇市で進められているのが、「OCEAN Study」と呼ぶ研究だ。その目的は、COPDに関する「CAPTURE」と「COPD-Q質問票」という2タイプのスクリーニングのための質問票の有効性を確かめること。それぞれごく簡単な質問項目によるアンケート形式になっている。通常COPDのスクリーニングには、スパイロメトリーと呼ばれる気流閉塞の有無を調べる検査が行われるが、器具が普及していない上、測定にはスタッフが必要。もしこの質問票が有効に機能することが示せれば、COPDの疑いのある人を早めに拾い上げて医療介入できる。

 なお、COPD-Q質問票は「COPD screening Questionnaire」の略称で、年齢や咳・痰・労作性息切れの頻度、喫煙数などに応じて点数を付けるもの。CAPTUREは、「COPD Assessment in Primary Care To Identify Undiagnosed Respiratory Disease and Exacerbation Risk」の略で、空気の悪い場所での勤務経験、呼吸状態の季節変化、作業時の息切れ、疲れやすいさ、かぜや気管支炎、肺炎で欠席や欠勤の経験について問うもの。ここまでの簡単な質問でCOPDのリスクを判定できるかが注目される。