地球上にありふれた生物「線虫」を活用して、尿からがんの有無を判別する――。そんながん検査サービス「N-NOSE」の開発を進めているスタートアップのHIROTSUバイオサイエンス。このほど、「実用化に向けた最終調整」(同社 代表取締役の広津崇亮氏)と位置付け、自治体と連携したトライアルに踏みだした。

2019年10月に開催された記者会見で、トライアルの実施を明らかにした。左から、小郡市長の加地良光氏、HIROTSUバイオサイエンス 代表取締役の広津崇亮氏、久留米市長の大久保勉氏(写真:諸石 信)

 トライアルに参加協力する自治体は、久留米市と小郡市(ともに福岡県)。久留米市から100人、小郡市から20人、合わせて120人の有志職員から尿を採取し、同サービスの一連のフローを試行・検証する。

焦点は検査結果のフィードバック工程

 N-NOSEは、本誌でも既報の通り、2020年1月に検診センターなどを通して実用化する計画だ(関連記事)。同サービスを導入した健康組合に所属するなどの条件に該当する人が、順次、検査を受けられる予定である。

 実用化時の検査の流れとしては、まず、検診センターなどで採尿する。その尿をHIROTSUバイオサイエンスの解析センターに送る。解析は、尿検体と線虫のプレートへの配置や、線虫の移動の結果を画像解析し判定する工程を自動化した装置で実施する。そして、検査結果のフィードバックは医療機関を通して行われる。

がん患者の尿のにおいに線虫が引き寄せられる。この原理を応用したのがN-NOSEである(出所:HIROTSUバイオサイエンス)

 今回のトライアルでは、これと同様の検査フローに沿って一連の流れを試行・検証するのが目的。結果も本人にフィードバックする前提で進める。特に、その検査結果のフィードバック工程の検証が、本トライアルでの焦点になるという。

 例えば、小郡市では「地元の嶋田病院の協力を得て、本人(被験者)に結果を戻す。その過程に、どういう課題があるのかを洗い出して、問題提起をしていく予定だ」と、同市長の加地良光氏は語る。