ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)は2020年10月7日、オンラインイベント「第5回LINK-Jオンライン・ネットワーキング・トーク」を開催した。「世界最強の『デジタルヘルス大手企業』が誕生!?アメリカデジタルヘルストレンド・現状&未来」というテーマで、Beyond HealthコラムニストでもあるKicker Ventures ファウンダー兼CEOの清峰正志氏が、米国のデジタルヘルス業界の現状を紹介した。

オンラインイベントに登壇する清峰氏(写真:オンライン画面のキャプチャー)

 清峰氏によれば、2020年は米国のデジタルヘルス関連スタートアップへの投資金額が過去最大の規模になっており、9年前と比べて10倍にもなっているという。投資する側もここ数年で変化しており、ヘルスケア事業を手掛ける既存企業のCVC(Corporate Venture Capital、自社と近い事業への投資)の割合が増えているという。

 その割合は2014年時点では47%と半分にも届いていない状態だったが、2020年では72%にまで上昇した。「ヘルスケア産業は基本的に保守的で、既存のヘルスケア企業はデジタルヘルスにあまり積極的に関与してこなかった。しかし時間をかけて浸透してきた結果、このように既存プレーヤーからの投資が増えてきているのだと思う。新型コロナウイルスの影響で、医療現場のニーズが急増したのも要因の一つだと考えられる」(清峰氏)。

 しかし、清峰氏は「投資額が増えたとしても、デジタルヘルスという新しい産業が生まれたわけではない」と強調する。デジタルヘルスは既存のヘルスケア市場を侵食して広がっており、言い換えるとヘルスケア業界そのものが変化しているのだと指摘する。既存企業にとっては「デジタルヘルスを取り込む」という考え方は誤りで、「新しいヘルスケア業界で、どうすれば主要プレーヤーになれるか」を考えるべきだとした。