仕組みが有効に機能するか検証

 さらに、GSKとの共同研究として、CATの活用を広げていくためにCATが有効に利用できる仕組みの検証を始めた。武藤氏は「患者の中には、データを入れるためのデバイスが使えない、スマホを持っていない人もいる。患者100人を集めて、スマホでデータを適切かつ継続的に入力してもらうことができるかを検証していく」と話す。この中では、COPDに使われる吸入薬の吸入器の使い方の説明もする。ICTの活用によりCOPDの治療効果が高められるか。その基本的な部分が確かめられることになる。

 医療のICT化が進み、患者宅での疾患管理が浸透すると、患者データが集積されて、治療状況が見える化できる。治療成果を検証し、アウトカム評価が可能に。そうすると患者個人に適した医療選択ができるようになる。

 「患者個人個人に適した医療をどう提供するか。患者の中でもバラツキがある。例えば、飲んだくれた明くる日に飲む薬と、外でランニングした後に気分爽快で飲む薬は、同じ薬でも効き方は違う可能性がある。個人間の違いではなく、個人の中でも違う。intrapersonalでの違いに対応するのは、遺伝子の情報を活かす以上に難しい。リアルワールドデータは取れても、リアルワールドエビデンスとして治療の根拠を得るのははるかに困難。理解ある医師とやるしかない。ICT活用により、患者が参加していく医療を実現し、集積された医療データを基に医療を創造し続ける」と武藤氏。

 今回のセミナーを通して見えたのは、患者データの取得を医療に取り入れる上でいま進んでいるのが、ごく基本的な「情報の取り方」という点であること。沖縄の事例でも武藤氏の事例でも、そもそもデータの入力ができるのか、集めたデータが意味を持つのか、という初歩的なポイントが確かめられている。医療でのICT活用では、こうした足腰の強化がまず求められているといえそうだ。

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