医療提供をいかに持続可能な形で実現するか

 安部氏は東京大学法学部卒業後に経済産業省勤務などを経て独立。2019年に立ち上げたメドリングの事業内容は「アジア圏でのスマートクリニックチェーンの展開」。直営、フランチャイズ、臨床研究支援を行う。

 目指すゴールは「ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)」としている。メドリングは、「誰もが、いつでも、どこでも、安価に『最低限の医療』を享受できる社会」と説明し、これをアジア圏を舞台として実践しようと目指す。

 この言葉はかねて国際連合が進めているSDGs(持続可能な開発目標)の17のゴールの一つに掲げられているものとなる。グローバル化が進む中で、先進国や新興国といった枠組みを越えた普遍的な価値を持つ製品やサービスがより求められるようになっていた。地球温暖化や環境破壊、労働搾取などの国際問題も表面化する中で、SDGsの動きが国連で提唱され、持続的可能性へと発想転換が起こっている。SDGsの中では、ヘルスケアの領域で重視された考え方が、ユニバーサルヘルスカバレッジだ。これは「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保険医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」を目指すものだとされている。

 そのためにも、医療提供のコストをいかに安価にしていくかは鍵を握るところだ。安部氏は、「ベテランの医師でなくても、一定水準以上の医療を提供できる仕組みを作ろうと考えている。安価に提供できるものを目指す。日本は公的保険なので、個人の負担は軽いが、多額の健康保険や税金を投じる。日本以外では実現できていない。日本でも持続可能性は不透明である」と言う。保険料や税金にいかに頼らずに医療提供を持続可能な形で実現するかは難題ではあるが、そこがメドリングが挑もうとする壁と言えそうだ。


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