●牧野結衣氏(広尾学園高等学校)

 牧野氏は、医療データを共有していつでもどこでも閲覧できるアプリ「結」のアイデアを披露した。全体の仕組みとしては、かかりつけ医が診療所での診断結果を患者に渡し、まずは患者がその内容をしっかり理解する。その後、希望者は自分の医療データを国のシステムに預け、個人の同意に基づいたうえで、全国の各医療機関が必要に応じて患者の医療データを閲覧できるというものだ。

牧野結衣氏

 現状では、患者の情報はカルテとして各医療機関が保持しており、患者がそれを見ることはできない。また、医療機関同士の連携が薄いため、情報共有もあいまいだ。そこでこのアプリでは、患者を中心とした医療体制を実現させることで、「患者と医療機関同士の連携による医療データの一元化」(牧野氏)を目指す。

 牧野氏がまず実現させたいと考えているのは「緊急時の円滑な対応」。災害時の慢性疾患患者への迅速な対応や、被災地での継続的な医療サービスの提供などが挙げられる。さらに、このアプリを活用した「移動診療」の導入も提案。アプリを通じて医療機関と患者を結び、「患者自身が健康データとともに歩んでいく社会を実現させる」(牧野氏)。

●瀧澤玲央氏(国際医療福祉大学成田病院 血管外科 外科医)

 人工血管やカテーテルなどの人工物には、「常に感染のリスクがつきまとう」(瀧澤氏)という課題がある。しかし、従来の感染対応法ではその感染を完全に防ぐことが非常に難しい。そこで瀧澤氏は、バイオミメティクス(生物模倣)を応用した「感染しないカテーテル」のアイデアを提案した。

瀧澤玲央氏

 現在、瀧澤氏が注目するバイオミメティクスは2つ。1つは「鮫肌構造」で、サメ肌の微細な凹凸が「さまざまな病原微生物に抗菌作用を有する」(瀧澤氏)という報告がある。もう1つは、セミやトンボの羽に見られる「ナノピラー構造」。こちらは、微細な柱状構造が「病原性微生物の細胞を破壊することで抗菌作用を示す」(瀧澤氏)という。

 これらのテクノロジーで感染しないカテーテルを実現し、現行の医療品を使わずに感染をコントロールできれば、医療現場の無駄なコストを削減するなどの「革命的なイノベーションになる」(瀧澤氏)。また、実現にはいくつかの課題があるものの、このテクノロジーを感染リスクのあるすべての医療器材に応用できれば、将来的に「患者、医療者のリスク回避」「大幅な医療費削減」「日本初の世界市場への進出」などのメリットにつながるとした。