●竹内雅樹氏(東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻修士2年)

 竹内氏は、失われた声を取り戻すための新しいデバイス「Syrinx」を開発している。声を失った人たちがコミュニケーションを取るためのデバイスで、「ハンズフリー」「人間に近い声の生成」「快適なデザイン」という3つの特徴を持つ。

竹内雅樹氏

 これまでは、口パクで振動音を言葉にして発声する「EL(電気式人工喉頭)」が長年利用されてきた。しかし、ELには「片手が塞がる」「機械的で単調な音声」「20年以上不変のインターフェース」という課題があった。Syrinxは、「これらの課題を解決する」(竹内氏)ための新しいデバイスであり、喉頭摘出者団体「銀鈴会」の協力を得ながら開発を進めている。

 Syrinxは、振動子の付いたバンド状のものを首に巻き付けた状態で使用する。人間に近い声を出すために、2つの異なる振動子を用いるとともに、ユーザーの過去の音声から機械学習を用いて振動音を作成する。現在は、製品化や特許取得のため、さらに人に近い声を再現するための改良に取り組んでいる。そして「声を失った人が日常生活で何不自由なく話せる社会」(竹内氏)というゴールを目指す。

●依田龍之介氏(帝京大学医療技術学部 視能矯正学科4年)

 依田氏は、子どもの視力を守る家庭用眼科検査サービス「おうち de 眼科」のアイデアを提案した。視力の成長が停止・低下してしまう小児特有の疾患「弱視」は、三歳児検健診では発見率が42.3%に留まっていることから、すべての子供を対象とする「弱視の早期発見を目的として考案された」(依田氏)。

依田龍之介氏

 サービス内容としては、スマホアプリによる視力・眼球運動の「家庭内検査」、眼球版の母子手帳である「検査結果の記録・解析」、健常者データを基にAIが判定する「異常検知」を用意。弱視の傾向がある場合は、遠隔健康医療相談や近医への受診を推奨する。さらに弱視になった場合も、このアプリで「弱視治療の管理」をできるようにする構想もある。「弱視治療の経過を可視化し、子どもの視力向上につながる行動変容を行うことで、治療成績の向上につなげる」(依田氏)。

 しかし、このような価値を生み出すためには、記録の継続が必要となる。そこで依田氏が着目したのは、「絵本の時間」を利用した検査。スマホなどでデジタル絵本を読む間に、インカメラを利用して子どもの眼球運動を検査する。さらに、文字や絵を視力に換算することで、視力を予想する仕組みを想定している。