●Opening Line

 障害者向けの買い物支援アプリ「3 Step Wallet」を開発するOpening Line。同社が着目したのは、知的障害を持つ子供は「欲しい物を購入するまでに1カ月かかるケースもある」(同社 代表取締役 佐々木亮一氏)という課題である。というのも、購入には後見人の承認が必要となるほか、実際の購入に同行してもらう付添人の予約にも時間がかかるからだ。

Opening Lineの佐々木亮一氏
Opening Lineの佐々木亮一氏
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 3 Step Walletはこの課題を解決するために、「商品のQRコードを読み取って決済をし、後見人の承認を得て、実際に商品を受け取る」(佐々木氏)という3つのステップをアプリでサポートする。例えば、従来は電話だった後見人の承認はアプリ上で得られるようになっているほか、決済まで可能な仕組みを導入している。なお、Opening Lineはもともとブロックチェーン技術を開発する企業であることから、その技術を「承認や決済の不正防止に活用している」(佐々木氏)。

 現在は、福岡の放課後等デイサービス「わかば」で実証実験を実施中。フィードバックを受けながら、UIなどの改善を進めている。今後の展望として、知的障害者の子供たちから得たノウハウやフィードバックをもとに、「高齢者向けの買い物支援に関する市場も目指していく」(佐々木氏)と語った。

●Holoeyes

 主にVR(Virtual Reality:仮想現実)の技術を使った外科医向けのサービスを提供するHoloeyes。CT画像データから人体の骨などをホログラム化し、その映像を医師がAR(Augmented Reality:拡張現実)によってゴーグル越しに見ることで、実際には見えない骨の様子を患者の身体に重ねながら確認できる技術を解説した。実例として、背中から脊椎に針を刺して麻酔を入れる様子を紹介し、「見えないものを見えるようにすることで、医者の迷いがなくなる」(同社 代表取締役 谷口直嗣氏)と補足する。

Holoeyesの谷口直嗣氏
Holoeyesの谷口直嗣氏
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 Holoeyesには、医療機器に関する「ソフトウエア開発・販売」と「IT開発」という2つの軸がある。この2軸を組み合わせることで、「遠隔カンファレンス」「遠隔トレーニング」「遠隔教育」などの新しいデジタル医療のマーケットを開拓していく考えだ。例えば「遠隔カンファレンス」では、離れた場所にいる複数の医師が、同じ患者の患部映像をリアルタイムにVRで見ながら検討できるツールを提供中。「遠隔教育」では、VRで収録した解剖の解説映像をスマホ視聴で自宅にいながら学習できる仕組みを開発している。

 「“臨床”を中心に、その周りにさまざまな医療のロングテールマーケットが広がっている」と谷口氏は語る。臨床から生まれた三次元のデータを使って「そのマーケットをつなぐとともに、データのエコシステム作っていく」(谷口氏)との方向性を示した。