●シルバコンパス

 顧客ニーズの増加とともに慢性的な人材不足にある薬剤師の現状において、薬剤師が最も心配するのは、調剤の間違え(誤配)によって患者に健康被害が起きる「調剤過誤」。シルバコンパスは、誤配を防ぐことで安心して薬剤ピッキングができるピッキング支援システム「PickingCompass」の開発に取り組んでいる。

シルバコンパスの井本健太郎氏

 これまでの薬局では、棚にある薬の配置を覚え、それを間違えずに取る必要があった。シルバコンパスはその古い体質をPickingCompassによって解放し、薬剤師には「対人業務に集中してもらう」(同社 代表取締役 井本健太郎氏)べきだと考えている。

 PickingCompassは、薬剤情報データベースと連携し、棚の上に設置するディスプレイに必要な薬を最短ルートで取れるようなガイドを表示する仕組みを備える。これにより、「棚の配置を知らない新人であってもミスなく対応できる」(井本氏)ようになる点が大きなメリットであり、薬剤師の業務改善にもつながると井本氏は考える。

 また、大掛かりな装置が不要でどんな薬局でも利用できる「省スペース」や、棚以外の場所も指示できる「拡張性」もポイントに挙げた。将来的には医療にとどまらず、「品出しを目的とした他業種への拡大や、海外展開も見据えている」(井本氏)。

●ORANGE kitchen

 生活習慣病は放置すると人工透析になる可能性があり、医療費増加の一因となる。そこで代表取締役/管理栄養士の若子みな美氏は、「日本の医療費増加を解決したい」という思いから、人工透析予防に特化した重症化予防プログラム「しおみる」の開発に取り組んでいる。

ORANGE kitchenの若子みな美氏

 人工透析の予防には、その前段階の慢性腎臓病(CKD)の進行を食い止める必要があり、「食事制限をともなうCKDステージG3b以上の患者は日本に約150万人いる」(若子氏)。ORANGE kitchenは、透析導入となる可能性が高い65~69歳のCKDステージG3bをコアターゲットとし、人工透析を食い止めることで、費用削減と患者のQOL向上を目指す。

 「しおみる」は、行動変容ステージモデルを応用したプログラムを完全オンラインで提供する。期間は6カ月で、「前半3カ月は、確実な行動変容の方法と生活習慣を身につける。後半3カ月は、前半で培った行動変容の習慣を定着させ、介入頻度も徐々に減らしていく」(若子氏)。

 中長期的な事業展開として、当初は国保から導入を進め、段階的に企業健保へと拡大していくほか、CKDの前段階の疾病を有する対象者への介入も検討していく。また、プログラム終了後も行動変容の維持をモニタリングし続けるために「摂取食塩量の測定機器を自社で開発」(若子氏)しており、2023年頃からの販売を目指す。