●愛知県西尾市

 愛知県の西三河地方に含まれる西尾市は、自動車産業に関連する事業所が多数立地する、ものづくりの集積地として知られる。2021年現在、人口は約17万人で、高齢化率は25.5%。この先、急激な高齢化が見込まれている。

 そんな西尾市では、「工場勤務定年後の生活に課題がある人が多いことに頭を悩めている」と、市健康福祉部長寿課の杉浦弘樹氏は話す。典型的な高齢者像は、定年退職後、何をしたら良いかわからない、「通いの場」に通い続けても結果が見えない、フレイル状態になってから外出しようとすると家族に「危ないから外に出ないで」とブロックされてしまう、要介護になったら恥ずかしいと感じて要介護認定を受けたがらない──といった特徴を持つ。それで自分の住まいに引きこもり、社会とのつながりを持てずにいるというのだ。

 市として進めたいのは、高齢者が外出したくなるまちづくり。ベンチャー企業などには次のような提案を望む。①好みと外出先を提案してくれるシステム、②高齢者向け意識醸成のソリューション、③通いの場などの実績をデータ処理・分析・説明、④陸の孤島や離島向けのソリューション──。

 ④に関しては、人口約1500人のつくしが丘地区が、陸の孤島と化しているのだという。同地区は、公共交通の便が悪く、地域内に商店もないため、生活には市街地までの車移動が主な手段。今後、移動困難者や買い物難民が増えることになるという。また、離島問題を抱えるのは佐久島。人口約250人中の半分は高齢者で島民のほぼ全てが顔見知り。島には介護保険サービスがヘルパー派遣しかなく、重度化したら、最後は慣れ親しんだ島を出ざるを得ない状況になっている。

 「西尾市は都市機能も過疎地域もある日本の縮図型の都市。実証実験向きで事業の横展開が見込める」と杉浦氏。高齢者に無理なく提案でき、楽しいと感じてもらえるサービス・アイデアを幅広く募集したい意向だ。

西尾市健康福祉部長寿課の杉浦弘樹氏
西尾市健康福祉部長寿課の杉浦弘樹氏