キリンホールディングス(以下、キリン)は、電通との合弁会社であるINHOP(インホップ)を設立した。キリンが開発した独自素材「熟成ホップエキス」の健康機能を起点とし、ビールにとどまらない「ホップの新たなエコシステムの構築」を目指す考え。

ビールの原料として使われる「ホップ」(写真:近藤 寿成、以下同)
キリンが開発した独自素材「熟成ホップエキス」

 キリングループには現在、酒類事業や飲料事業からなる「食領域」と医薬事業を含む「医療域」の2つの事業の柱がある。「医食同源」と言われるように「医と食は統合的に捉えらえる」(キリンホールディングス 執行役員 R&D本部 副部長の近藤恵二氏)ことから、それぞれの領域で培った強みを生かすことで、「医と食をつなぐ事業」の立ち上げを進めている。今回の取り組みはその一つだ。

キリンホールディングス 執行役員 R&D本部 副部長の近藤恵二氏

 ビールの原料として千年以上にわたって使用されているホップには、多くの健康機能があるとされ、欧州では薬用ハーブの一つとして古くから利用されてきたという。キリンでは、このホップの健康効果に着目した研究開発を2000年初頭から続けてきた。

 キリンホールディングス R&D本部 健康技術研究所の阿野泰久氏によれば、ビールの苦み成分として知られる「ホップ由来苦味酸(イソα酸)」を摂取すると、脳内の老廃物の沈着が抑えられ、「アルツハイマー病を予防する効果がある」ことが東京大学との共同研究で分かったそうだ。さらに、脳内の神経細胞の活動を正常な状態に保つ作用があることなども、別の研究から見出されたという。

 しかし、イソα酸は「苦みが非常に強い」という特徴があり、「多様な食品への展開にはハードルが高い」(阿野氏)という課題があった。そこでキリンは独自の熟成加工方法を開発。苦みを1/10程度に抑えつつイソα酸と同様の認知機能改善作用を示す化合物「熟成ホップ由来苦味酸」を発見した。それを豊富に含む独自素材として開発したのが、熟成ホップエキスである。

キリンホールディングス R&D本部 健康技術研究所の阿野泰久氏

 さらにキリンは、この熟成ホップエキスに「体脂肪低減効果(抗肥満作用)」があることも確認しており、現在は「機能性表示を申請している」(阿野氏)という。