ベンチャーキャピタル(VC)であるシニフィアン 共同代表の朝倉祐介氏は、2021年10月26日にオンライン開催された「第5回メディカルデバイスイノベーション in 柏の葉」に登壇。「スタートアップの成長を通じた産業創出に向けての課題」と題して講演した。日本のスタートアップを取り巻く環境の現状や、より影響力のあるスタートアップを生み出すためのポイントなどについて語った。

シニフィアン 共同代表の朝倉祐介氏
シニフィアン 共同代表の朝倉祐介氏
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 シニフィアンでのスタートアップの成長支援を通じて、「未来世代に引き継ぐような新たな産業創出」を目指す朝倉氏。まずは私的な解釈として「スタートアップは未来の富を生み出すエンジンである」と表現した。さらに、スタートアップの本質として「時代の変化に応じて、世の中に出現する新たな社会課題に対し、ビジネスというインセンティブ構造を通じて迅速に対応する」「“持たざる者”であるがゆえに、しがらみや現状維持の慣性から自由に、フットワーク軽く、さまざまなソリューションを提供する」「さまざまな社会課題を解決する事業の構築を通じて、将来世代に引き継ぐ大きい産業を創る」「それらを実現するために、資本をレバレッジして急速な成長を企図する」といった点を挙げた。

 スタートアップを取り巻く環境を見てみると、未公開企業の資金調達額は2012年以降急速に伸びており、2019年では5522億円まで増加。2020年はコロナ禍の影響で大きな落ち込みが予想されたが、それでも5222億円と「その影響は軽微だった」(朝倉氏)。

国内未公開企業の資金調達額
国内未公開企業の資金調達額
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 さらに、2021年上半期の資金調達額の上位4社は100億円以上となっており、「二桁億円は当たり前。本当に成長しているスタートアップであれば、三桁億円も可能な環境が近年は整いつつある」と朝倉氏は分析する。加えて、最近では海外の投資家からも日本のスタートアップが魅力的に映っており「海外投資家から資金調達する日本のスタートアップも増えている」と付け加えた。

 IPOをするスタートアップの状況を見てみると「非常に大きなサイズ感で上場するスタートアップが増えている」(朝倉氏)というのも特徴の1つとなる。2021年であれば、転職サイトを運営するビジョナルは初値ベースで2545億円、AIプラットフォームを提供するAppier Groupは2027億円で上場しており、1000億円以上での上場も増えていることが見て取れる。