●シンクアウト

 シンクアウトは兵庫県姫路市にある「ツカザキ病院」の眼科からスピンアウトしたスタートアップ。眼科内のAIチームが元になっている。臨床医でもありAIエンジニアでもある同社 CTOの升本裕紀氏は「眼科医やメディカルスタッフ、プログラマーなど多職種から構成。病院とIT企業が同居しているような環境だ」と話す。

シンクアウト CTOの升本 裕紀氏

 同眼科は年間手術件数が約8000件と国内で最大規模であり、豊富な臨床データベースを構築している。このデータを生かし、AIによって点眼状況を把握する点眼瓶センサーを開発した。点眼瓶を支えるホルダーとモーションセンサーを組み合わせ、センサーがXYZ軸の波形を察知。Z軸方向の波形をもとに患者が点眼したかどうかをAIで判断する。また、点眼ではないパターンの波形を除去して精度を高めた。モーションセンサーでの点眼把握の特許は取得済みだ。

 きっかけは途中で点眼をやめてしまう緑内障患者が多いことだった。「緑内障は日本における中途失明原因の第1位。治療の中心が眼薬であり、放っておくと失明するリスクがあるにもかかわらず、30%の人は点眼をやめてしまう。そこで監視できるデバイスを開発した」(升本氏)。

 デバイスは30日間バッテリーが持続し、利用方法をアニメーションで見せる工夫も凝らした。将来的にはBluetoothでスマホのアプリと連動させ、在宅時に点眼回数を守っていないとAIが判断したらアラートを出す機能も付加する。

 緑内障患者は日本国内だけで約400万人と言われ、市場規模は小さくない。しかも高齢者になるほど罹患率が高まり、高齢化が進む社会情勢ともリンクしている。医療機器を目標としており、升本氏は「現場直結だけに臨床試験は圧倒的に速い。加えて過去のデータ量と質が我々の強み」と話した。