●Cross Sync

 急性期医療現場におけるミスや連携不足は、重大なインシデントにつながる。このリスクを回避するため、Cross SyncではAIをベースにしたソリューションを開発している。

Cross Sync 代表取締役の高木 俊介氏

 同社 代表取締役 高木俊介氏は横浜市立大学附属病院の集中治療部に在籍する急性期医療のスペシャリスト。高木氏によれば、ICU(集中治療室)でのインシデントは、確認不足、観察不足、連携不足などが実に事故原因の61%にも上るという。

 「ICUには多様な医療機器がスタンドアロンで存在し、それぞれの情報を医師が単独で判断している。集中治療医は患者の情報を集約し、どんな治療が必要かを瞬時に判断しなくてはならない。しかし事故が発生しやすい夜間は若い医師やスタッフが勤務することが多く、患者の変動に気づくタイミングをいくつか逃してしまう。これは現場でまだ起きている事実だ」(高木氏)。

 Cross Syncでは患者の画像をAIで解析して、重症度を自動的に判定するソリューションを提供する。「このソリューションは多職種、さまざまなレベルの医療経験者でも同様の重症度判定ができる点がメリット」(高木氏)。2019年6月には海外の学会で発表し、大きな注目を集めた。

 現在はモックアップを開発中で、近いうちにベータ版をリリース予定。横浜市立大学では2020年度から、横浜市と協力して複数病院のICUをネットワークで結ぶ「遠隔集中治療(Tele-ICU)」を実証予定であり、高木氏はその中心人物の1人でもある。そのため、本ソリューションのTele-ICUへの導入を見込む。「20年間、急性期医療の現場で勤務し、連携ミスによるインシデントを目の当たりにしてきた。この課題を解決したい。いつでもどこでも情報共有を加速することで、どの患者を優先的に治療すべきかに役立てていく」(高木氏)。