シーメンスヘルスケアは2021年11月9日、移動式大型車両に先進的な医療設備を搭載した「Medical-Connex(メディカル・コネクス)」の第1号機を医療法人 伯鳳会 東京曳舟病院に納入した。2017年4月に締結したシーメンスヘルスケアと伯鳳会グループとの「救急災害医療を中心とした医療機器の運用およびサービスに関するパートナーシップ」に基づき、仕様策定・開発を進めてきた先進的な医療機器を搭載した機動性の高い車両である(関連記事:「走る災害医療ステーション」、シーメンスが病院と共同開発)。

 メディカル・コネクスは、「災害現場で今までよりグレードの高い医療提供を可能にしたい」(白鳳会 理事長の古城資久氏)、「発災時の外傷性初期診療から時間経過とともに変わる医療ニーズに対応できる設備を1台に搭載したい」(東京曳舟病院 病院長の山本保博氏)という要望から開発が進められた。

右から白鳳会理事長 古城資久氏、東京曳舟病院病院長 山本保博氏、シーメンスヘルスケア 代表取締役社長 森秀顕氏、シーメンスヘルスケア アライアンス事業推進本部 本部長 山本宣治氏(写真:Beyond Health、以下同)
右から白鳳会理事長 古城資久氏、東京曳舟病院病院長 山本保博氏、シーメンスヘルスケア 代表取締役社長 森秀顕氏、シーメンスヘルスケア アライアンス事業推進本部 本部長 山本宣治氏(写真:Beyond Health、以下同)
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 こうした要求を実現するために、「技術的な問題点が3つあった」(シーメンスヘルスケア アライアンス事業推進本部 本部長の山本宣治氏)という。1つは多量の純水を使用する免疫・生化学分析装置を車載可能か、2つめは狭い車両空間にCT装置を設置し、かつ画像診断専門医がいない状況下をどう解決するか、3つめは同一車両内にこれらの医療機器をコンパクトに設置できるかという3点である。

 これらの課題を解決し、完成したメディカル・コネクスは、CT装置や超音波診断装置、免疫・生化学分析装置などの検体検査機器を搭載した検査用車両と、100KVAの発電機、検体検査関連機器、管理薬品・試薬保管用冷蔵庫を備えた電源用車両の2台で運用する。

左が全長12メートルの検査用車両、右が全長8.5メートルの電源用車両。発電機裏の扉が開いたスペースに毒物・管理薬品のセキュリティボックスと薬品冷蔵庫がある
左が全長12メートルの検査用車両、右が全長8.5メートルの電源用車両。発電機裏の扉が開いたスペースに毒物・管理薬品のセキュリティボックスと薬品冷蔵庫がある
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技術的な問題点を解決できたわけ

 Medical-ConneXは、外傷性初期診療で必須となる数々の項目を満たすための医療機器を限られたスペースに搭載することができた。

 特に深部静脈血栓症や急性心筋梗塞の確認などで使用する免疫分析装置および生化学分析装置は、純水装置による多量の水を使用し、排水設備も必要になる。こうした課題を、わずかな水で検査でき、排水装置が不要のDimension EXL 200 Refreshによってクリアした。水は災害用の水パッケージを作製し、提供する。

 また、同免疫・生化学分析装置は幅広い検査項目にも対応できることから、外傷性初期診療を含め、6~72時間の超急性期、1週間~1カ月の急性期、その後の慢性期までの検体検査に対応できるという。

検査用車両荷台の前部に搭載した免疫・生化学分析装置。右手前にはあるのが自動血球計数装置
検査用車両荷台の前部に搭載した免疫・生化学分析装置。右手前にはあるのが自動血球計数装置
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 技術的な問題点の2つめは、低線量CT装置の「SOMATOM go.UP」とAI技術を用いた画像解析ソフトウエア「AI-Rad Companion 」により解決した。システム制御や画像再構成を担うコンピューターを装置本体に内蔵し、省スペース化を実現したCT装置である。同CT装置はタブレットとリモートコントローラで操作できるため、患者データやスキャン情報の入力とスキャンの位置決めなどを患者脇ですべてできる。実際の撮影時のみ被爆を避けて、隣室に移動してタブレットで操作する。狭いスペースで効率的なオペレーションを可能にし、撮影者の安全性も確保した。

 さらに、AI-Rad Companion を使用することにより、画像診断医がいない状況下でも現場の医師をAI技術で読影支援できるようにした。

小型化を実現し、タブレットで操作できるCT装置は、検査車両の中間部に設置。狭いながら効率いいオペレーションを可能にした
小型化を実現し、タブレットで操作できるCT装置は、検査車両の中間部に設置。狭いながら効率いいオペレーションを可能にした
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