糖と認識され「ナノマシン」が脳内へ

 安楽氏が作り出したナノマシンは、カプセルの表面にグルコースが飛び出るような形である。この構造は、一つひとつの高分子がレゴブロックのように組み合わさって、内部に空洞を持つ。高分子の末端には、グルコースがつながっており、もう一方はマイナスの電気を帯びる。このため内部が電気的にマイナスのカプセルが作られる。

レゴ分子の自動会合による「ナノマシン」の構築(出所:東京大学・iCONMの安楽氏発表スライド)

 安楽氏は、「プラスの電気を持つ医薬品を一緒にすると、マイナスの電気を帯びたナノマシンの内部に取り込まれて、医薬品を封入することができる」と説明する。さらに、ナノマシンは外側にグルコースが飛び出ているために、脳血管内皮細胞のGLUT1によってエネルギー源の糖として認識させることができる。このため、能動的にナノマシンを脳実質へと取り込ませられるのである。超微小でありながら、狙った機能を実現させられる。まさに、機械のように動かせるところが「ナノマシン」と呼ばれるゆえんだ。

 さらに、マウスによる実験から、絶食した場合に効率よく脳内に取り込まれることも安楽氏らは確認した。エネルギー源である糖の特徴を生かしたものとなる。こうして血糖値の制御によって、薬剤の脳への送達効率を高めることも見いだした。