核酸医薬で相乗効果狙う

 このたび安楽氏は、このナノマシンの仕組みを応用して、核酸医薬の脳内への送り込みを成功させた。

抗体医薬をナノマシンで細胞内に送り込む場合の概念図。今回は抗体医薬ではなく、核酸医薬の送り込みに成功した(出所:iCONM・東京大学・東京医科歯科大学等による2020年5月20日付報道発表資料)

 「直径40nmサイズのナノマシンを作りだし、この中に核酸医薬を封入できることを確認。このナノマシンを動物実験により投与したところ、血糖値の制御も組み合わせると、投与量のうち6.5%を脳内に届けられることを確認した。脳内の各領域に薬剤を届けられるほか、脳内のたんぱく質の発現を抑制できることも確認した。脳へ届けられる効率を100倍に高められることになる」と安楽氏は説明する。

 アルツハイマー病では抗体医薬の開発が進んできたが、さらに核酸医薬もアルツハイマー病のもとになるたんぱく質の生成を抑える可能性がある。安楽氏は、「両方を組み合わせることで相乗効果も期待される」と強調する。

 安楽氏は、抗体医薬と核酸医薬のいずれもナノマシン化を実現させている。既に同氏らのグループでは、抗体医薬についても脳への送達効率を42倍に高められることを確認。同じ効果を得るために1/10の投与量で良いことも確認しており、今回のセミナーでもあらためて説明した。

(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)