ヘルスケア分野におけるオープンイノベーション活動を推進する組織「i2.JP」を2020年11月に立ち上げたアストラゼネカ。当初、7つの企業・団体でスタートした同組織のパートナー数は、この1年間で130以上に増加したという。同社は2021年11月11日、i2.JPの1年を振り返るメディア発表会を開催した(関連記事:同業他社とも組む、上下関係を排除し「緩いつながり」を作る)。

患者ニーズを中心とした「ペインポイント」を見つける

 冒頭、代表取締役社長のステファン・ヴォックスストラム氏が登壇し、i2.JPの活動意義やイノベーションの重要性などについて説明した。ステファン氏がまず着目したのは、日本が抱える「少子高齢化問題」と、それに関連した医療分野での課題だ。例えば、2018年度の国民医療費は43兆4000億円にもなっていることに加えて、その約60%にあたる26兆3000億円が65歳以上の高齢者(全人口の約29%)の医療費として消費されている。

 これに対してステファン氏は、今後のさらなる高齢化や人口減少を踏まえた場合、現在の優れた日本の医療を維持していくためには「どこかを変えていかなければならない」と訴え、そこに「i2.JPの果たす役割がある」と付け加えた。

アストラゼネカ 代表取締役社長のステファン・ヴォックスストラム氏(写真:近藤 寿成、以下同)
アストラゼネカ 代表取締役社長のステファン・ヴォックスストラム氏(写真:近藤 寿成、以下同)
[画像のクリックで別ページへ]

 i2.JPは「ヘルスケアの未来への貢献」を目的とし、「患者をサポートするソリューションの提供」「医療従事者の日常の改善」「ヘルスケア技術・ソリューションの育成」「次世代ヘルスケアへの貢献」などに取り組んでいる。これらの取り組みをさらに進めるにあたり、ステファン氏が重要と考えるのが、患者のニーズを中心とした「ペインポイント」を見つけることである。そのペインポイントを明らかにするとともに、パートナーと共有して新たなソリューションを生み出すエコシステムになることが「i2.JPの目指す姿」となる。

 大企業やスタートアップ、保険会社、薬局、ベンチャーキャピタル、アカデミアなど、それらすべてがi2.JPで一堂に会し、お互いに手を取り合っていくようなエコシステムを構築できれば、新たなソリューションの提供が可能になる。これによって次世代のヘルスケアを日本で展開できれば、それが「日本の社会問題の解決にもつながる」とステファン氏は語った。

 さらに、「日本がどのようなイノベーションで少子高齢化問題を解決するか」は世界中が注目していることから、アストラゼネカは「少子高齢化問題を解決できるような次世代のヘルスケアをまずは日本にもたらし、それを世界中に普及させていく」考えだ。そこにおいてi2.JPはとても重要なシステムであり、ステファン氏は「さまざまなプレーヤーとともにそれを実現させていく」と締めくくった。