地球上にありふれた生物「線虫」を活用して、尿からがんの有無を判別するサービス「N-NOSE」を手掛けるHIROTSUバイオサイエンス。同社はこのほど、「早期すい臓がん」を特定できる検査の開発に成功したと発表した。

記者会見に登壇するHIROTSUバイオサイエンス 代表取締役の広津崇亮氏(写真:同社、以下同)
記者会見に登壇するHIROTSUバイオサイエンス 代表取締役の広津崇亮氏(写真:同社、以下同)
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 同社 代表取締役の広津崇亮氏は、2021年11月16日に開催した記者会見に登壇し、2022年中の実用化を予定していることを明らかにした。「早期発見が最も難しいとされるすい臓がんの特定は、医学界の長年の夢。その特定検査の開発を急いだ」(同氏)。

 すい臓がん特定検査は、遺伝子組み換え技術を用いて、すい臓がんの匂いにのみ特別な反応を示す特殊線虫を作りだしたことで実現した。N-NOSEに使用している従来の線虫は、健常者の尿の匂いからは逃げ、がんの匂いにはがん種に関係なく近付く。今回開発に成功した特殊線虫は、すい臓がんの匂いを感じることができず、健常者の尿から逃げるのと同様の挙動を示す。これらを組み合わせることで、すい臓がんであることを特定する仕組みである。

 これまでの検証では、今回開発した特殊線虫自体の感度は100%、特異度は91.3%であると説明。具体的には、すい臓がん患者の検体22症例に対して、すべてをすい臓がんと判定。その他のがん種(胃、大腸、肺、乳、子宮)のがん患者検体46症例に対しては、42症例をすい臓がんではないと判定したという。

研究チームのリーダーである、HIROTSUバイオサイエンス 湘南 R&D センター センター長のエリック・デルクシオ氏
研究チームのリーダーである、HIROTSUバイオサイエンス 湘南 R&D センター センター長のエリック・デルクシオ氏
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 今後は、すい臓がん以外のがん種を特定できる線虫の開発も進めるという。「死因の高いがんや女性特有のがんなどニーズの高いがん種から実用化を目指していく」(広津氏)。


(タイトル部のImage:HIROTSUバイオサイエンス)