価格は2万円以下を想定

 マイクロRNAは、20塩基程度の長さのRNA(リボ核酸)分子。ヒトでは配列の異なる約2500種類が報告されている。細胞の中でDNAやたんぱく質を制御する機能を持っているほか、特定のがんが特定のマイクロRNAを分泌し、それが血液中に流れ出ていることが近年分かってきた。

 このマイクロRNAを使ってがんを検出する方法としては、既に「マイクロアレイ」や「リアルタイムPCR」などが開発されている。マイクロアレイは、多くのマイクロRNAを網羅的に検出できる特徴があるが、精度があまり高くなく検査価格が約10万円という点が普及の上では課題になると東芝は見る。リアルタイムPCRは検出精度が比較的高いものの、対象とするがんの数があまり多くないため、「検診で網羅的に調べる用途を想定した場合にはやや不利」(同社 研究開発センター 研究主幹の橋本幸二氏)という。

 これに対して、東芝が今回開発した検査技術の価格は2万円以下を想定している。冒頭の「13種類のがんを99%の精度で2時間以内に」という点と合わせて、精度や価格、網羅性などの特徴を兼ね備えていると胸を張る。

 こうした特徴を生み出しているのが、独自の検出技術だ。通常のマイクロアレイやリアルタイムPCRの場合、マイクロRNAの検出に「蛍光色素」を使用するのに対して、東芝が開発した検出技術では「電気化学的」な方法を用いる。

 同社は、この電気化学的な検出技術の研究開発に長年取り組んできており、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスを判別する診断薬や、実験動物の感染症を検査する試薬などを実用化してきた経緯がある。これらをベースに今回の検出技術を開発した。「(電気化学的な方法を用いることで)検査時間の短縮や装置の小型化、システムの簡素化などに寄与している」(橋本氏)という。

 実際の検査の流れはこうだ。まず、採取した血液を血清化し、そこからマイクロRNAを抽出する。次に、マイクロRNAごとに異なる人工配列を付加することで特異性を高める。最終的にはマイクロRNAチップと検査装置を使って計測する。トータルでかかる時間が約2時間となる。

今回開発した検出技術による検査フロー(出所:東芝)