医薬品、医療機器に次ぐ、新たな治療法として注目されている「デジタルセラピューティクス」(デジタル療法)。日本でも生活習慣病を対象としたデジタル療法の臨床試験がいくつか進行し、ニコチン依存症患者向けの治療用アプリが薬機法で承認される日も近付いている。こうした従来の治療とは異なる新しい治療法を臨床現場で適正に実施していくためには、どのようなハードルを乗り越えなければならないのか──。

 こうしたテーマを議論するワークショップが、「第23回 日本遠隔医療学会学術大会」(2019年10月に盛岡市で開催)で実施された。登壇したのは同学会の「治療アプリ・デジタル療法分科会」所属のメンバー。分科会長の佐竹晃太氏(日本赤十字社医療センター、CureApp Institute共同代表)、野村章洋氏(金沢大学附属病院 先端医療開発センター/循環器内科)、佐藤雅哉氏(東京大学医学部附属病院 検査部)、東福寺幾夫氏(高崎健康福祉大学大学院 健康福祉研究科)の4人である。

 議論したテーマは、(1)デジタル療法の有効的な活用、(2)臨床現場に導入する上でのハードル、(3)適正な使用について考える上でのポイント、などだ。

 議論に先立ち佐竹氏は、31施設で実施したニコチン依存症患者向けの治療用アプリのランダム化比較試験の結果に触れ、「トータルではポジティブな結果だったが、いくつかの施設では治療用アプリを利用しても禁煙成功率は高くなく、むしろ低い結果が出た」(同氏)と語った。

日本赤十字社医療センターの佐竹氏(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

 こうした点を踏まえ、デジタル療法の臨床適用には、適正な使用を考える必要があるとした。同時に「今後、臨床現場で大きな問題になると考えられるのは、医療従事者がデジタル療法を上手く使いこなせるかだ」(同氏)と課題提起した。