フィリップス・ジャパンは、事業ドメインの積極拡大を図る。2019年11月26日に開催した2020年事業戦略発表会で明らかにした。

 具体的には、次の5つの領域に進出する。(1)ヘルスケアモビリティ、(2)マザー&チャイルドケア、(3)スポーツヘルス、(4)SmartSleep、(5)トータル・ホスピタル・マネジメント・ソリューション、である。

フィリップス・ジャパン 代表取締役社長の堤浩幸氏。発表会では、様々な分野でエコシステムを形成するため、多くのパートナー企業・団体と協力していることを強調した。昨年の事業戦略発表会ではパートナーの数を60と発表したが、今年はその数が104にまで増えたとした。自治体との連携も増えており、地域特有の健康課題を解決するための取り組みも進んでいるという(写真:小口正貴、以下同)

 (1)のヘルスケアモビリティは、既報の通りコンセプト自体は明らかにしていた(関連記事:フィリップスが目指す「ヘルスケアモビリティ」とは何か?)。次世代の移動サービスとして話題が集まっているMaaS(Mobility as a Service)の活用により、ヘルスケアのサービスを受けられる拠点を移動可能にするというアプローチだ。これにより、医師不足や通院が難しい人のケアといった課題の解決を狙う。

長野県伊那市で12月に開始

 今回、いよいよ実際の専用車両を使った実証事業を、長野県伊那市で12月に開始することを明らかにした。かねて協業を宣言していたMaaS事業を手がけるMONET Technologiesとの実証である。「まずは、この実証事業で市場創造。次のステップで事業の拡大、最終的にはモビリティを起点としたまちづくりにまでつなげていきたい」とフィリップス 代表取締役社長の堤浩幸氏は語る。

専用車両の内部。診療用のシートや検査機器、遠隔診療用のモニターなどがある

 専用車両には、心電図モニターや血圧計などの機器を搭載する。実証では、車両に看護師が搭乗し、各家庭を回る。利用者は車内に乗り込み、モニターを通して遠隔で医師の診療を受けることを想定する

 発表会に登壇した伊那市長の白鳥孝氏は、「医師不足と医師の偏在化が顕著になっていて、往診も広い市内全域をカバーするのは難しい。MaaSの組み合わせは地方にとって画期的な取り組みだ」と期待を寄せる。

伊那市長の白鳥孝氏(右)

 MONET Technologiesの代表取締役兼CEOの宮川潤一氏も登壇。「将来的には、移動型クリニックや移動型調剤薬局といったところまで進めたい。今後5Gが普及して、より大きなデータをやり取りできるようになれば、もっと多くのことができるようになる」と展望した。

MONET Technologies 代表取締役兼CEOの宮川潤一氏


スポーツをフックにした医療機関も

 (2)のマザー&チャイルドケアでは、海外で展開しているブランド「AVENT(アベント)」の日本市場への投入を明らかにした。2020年に展開を開始する予定だ。ベビー用品や「マタニティ+」という子育て支援アプリを提供する。

海外で展開しているブランド「AVENT(アベント)」を日本市場に投入する

 (3)のスポーツヘルスの一つとして挙げたのは、スポーツをフックにした医療機関。プロスポーツ選手を主な対象としつつ、スポーツ選手以外の外来患者も同じ治療が受けられるというコンセプトだ。ドイツのハンブルグで第1弾の施設が建設中で、日本にも導入する予定だとした。

 (4)のSmartSleepは、既報の通り、日本でのスリープテック市場に参入する。第1弾として、「SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド(以下、ディープスリープ ヘッドバンド)」を2019年11月26日に発売した。ヘッドバンドに搭載したセンサーで脳波を検出し、ディープスリープ(深睡眠)に突入すると内蔵スピーカーからオーディオトーンが流れ眠りの質を高める製品だ(関連記事:ヘッドバンドで“日本の課題”の眠りを救う!)。

 (5)のトータル・ホスピタル・マネジメント・ソリューションでは、海外950以上の医療機関で導入されている「Tasy(タジー)」と呼ぶソリューションを日本市場に導入する。電子カルテや部門システムに加え、病院の経営管理、物流・在庫管理機能など、これまで独立していた複数の病院情報システムを一つのパッケージソフトウエアとして運用できる(関連記事:「これ一つで完結」の病院情報システム、フィリップスが日本導入)。今回の発表会では、Tasyの日本市場導入にあたり、日本アイ・ビー・エムと協業することを発表した。


(タイトル部のImage:小口 正貴)