オンライン服薬指導――。テレビ電話などの情報通信技術を用いた遠隔での服薬指導のことだ。2019年11月27日に成立した「改正薬機法」で、その実施が認められることになった。同法が施行されれば、一定のルールの下で実施することが可能になる。

 これに先立ち、福岡県福岡市、兵庫県養父市、愛知県の国家戦略特区では、特例として2018年7月からオンライン服薬指導の実証実験が行われてきた。この実証の結果が、「第23回 日本遠隔医療学会学術大会」(2019年10月に盛岡で開催)で発表された。

 発表したのは、医療法人社団鉄祐会 理事長の武藤真祐氏(福岡市の実証を担当)と日本調剤の木村慶彦氏(愛知県の実証を担当)である。両氏は、オンライン服薬指導の一定の有用性は実証されたものの、普及に向けた様々な課題が明らかになったと報告した。

限定的な実施にとどまった特区での実証

 武藤氏がまず指摘したのは、今回の実証実験の対象患者が非常に少なかったことで、限定的な検証にとどまったこと。対象患者が少なかったのは、国家戦略特区でオンライン服薬指導が認められたのが、離島・へき地に居住する患者に限られたためだ。さらに、オンライン診療を受けていることも条件だった。

鉄祐会の武藤氏(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

 「これらの条件に相当し、実証実験に同意する患者をそろえるとなると、非常に難しいリクルートだった」。武藤氏はそう振り返る。実際、福岡市では3例にとどまった。いずれも訪問診療、訪問服薬指導を受けている在宅患者で、へき地でありながらも医療アクセスに支障があったわけではないという。

 愛知県において日本調剤の薬局が行った実証実験も対象患者は1例にとどまった。知多半島沖の離島に住む患者を対象に、JA愛知厚生連 知多厚生病院と日本調剤瀬戸薬局が連携して実施した例だ。「テレビ電話装置などの準備や患者同意の取得、患者宅周辺の通信環境の確認などの事前準備も多かった」(木村氏)という。