「第39回 医療情報学連合大会」(2019年11月21~24日、幕張メッセ)は、「IoT時代の医療情報の利活用」をメインテーマとして実施された。同学会では、IoT活用の現状と将来をどう考えているのか――。関連シンポジウムの座長を務めた富山大学附属病院医療情報部の中川肇氏、電子情報技術産業協会(JEITA)ヘルスケアIT研究会の定仲信行氏、同ヘルスケアIT研究会の藤沢悟氏、保険医療福祉情報システム工業会(JAHIS) 医療介護WGの光城元博氏の発表を紹介していく。

医師の意志決定に好影響を与える

 富山大学附属病院の中川氏はシンポジウムの冒頭、医療機関で使用するバイタル測定器や血糖測定器などのデバイスが通信機能を持つようになり、病院情報システム側にデータを取り込むインタフェース開発も各自開発され、自動転送される仕組みが登場してきたと指摘した。しかしながら、「測定デバイスやアプリケーションの標準化の問題や独自のインタフェース開発の課題、あるいは運用の制度的な問題など未解決な課題は多々ある。さらに、実際の運用成果あるいは費用対効果など明らかにすべき点も多い」と問題提起した。

富山大学附属病院医療の中川氏(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

 一方で、IoTの浸透・拡大による将来的な期待も展望した。さまざまなIoTデバイスで測定されたデータが瞬時に転送・分析されることにより、「医師の意志決定に好影響を与え迅速な治療が可能になる」と中川氏は言う。さらに、ビッグデータ化による2次利用への期待も大きいとした。

 疾患的な視点では、現在は糖尿病や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、睡眠時無呼吸症候群(SAS)など慢性疾患管理にIoTが利用されることが多い。これに対して今後は、寛解・増悪を繰り返す疾患などに応用範囲が広がるだろう中川氏は見る。