睡眠研究で知られるスタンフォード大学医学部精神科教授の西野精治氏が2019年に創業したブレインスリープ。同社は2021年12月9日、新商品と経営計画に関する記者発表会を開催した。

 新商品の第1弾として発表したのは機能性布団の「BRAIN SLEEP COMFORTER」。胸元に独自のウエイトバランサー(重り)を入れた寝具で、適度な重さによりリラックスして睡眠が取れるとする。加重寝具による安眠効果は近年話題となっており、発表会に登壇した同社 最高経営責任者(CEO)の道端孝助氏は「布団に同一化することで新しい切り口としていきたい」とアピールした。

胸元にウエイトバランサー(重り)を入れたBRAIN SLEEP COMFORTER。サイドにも重りを入れて寝返りによるズレを抑制する(写真:小口 正貴、以下同)
胸元にウエイトバランサー(重り)を入れたBRAIN SLEEP COMFORTER。サイドにも重りを入れて寝返りによるズレを抑制する(写真:小口 正貴、以下同)
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 第2弾が、2021年12月30日までクラウドファンディングを実施中の機能性枕「NEWWAVE(ニューウェーブ)」。クラウドファンディング開始からわずか1日ほどで目標金額を達成している。「脳が眠る枕」と銘打つ枕「ブレインスリープ ピロー」の新ラインアップとなる。「おもなターゲットはスマホやPCを頻繁に使い、首と脳を酷使するデジタル世代。そのペインにフォーカスした商品を開発した」(道端氏)。

ブレインスリープ ピローの新ラインであるニューウェーブ。商品発送は2022年1月末を予定
ブレインスリープ ピローの新ラインであるニューウェーブ。商品発送は2022年1月末を予定
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 第3弾は、家電ベンチャーのカドーとコラボした時計「BRAIN SLEEP CLOCK」。文字盤が一切ない、時計の概念を覆すデザインが斬新だ。代わりに音、香り、光の3要素で睡眠リズムをサポートし、快適な入眠と目覚めに貢献。2022年春の本格発売を目指している。

おしゃれな間接照明のようなBRAIN SLEEP CLOCK
おしゃれな間接照明のようなBRAIN SLEEP CLOCK
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 さらに「脳眠プロジェクト」と名付けたインフルエンサーとの共同プロジェクトからは、女優の山田優さんがプロデュースしたリネン類、人気スタイリストが監修したペット用ベッド、歯科医師/クリエイティブディレクターが手がけたシルクリネンなどを紹介した。

女優の山田優さんとのコラボ第2弾となるリネン類
女優の山田優さんとのコラボ第2弾となるリネン類
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 これらの背景から、西野氏の睡眠メソッドを落とし込んだ寝具開発がメインと思われがちだが、道端氏は「我々の事業はプロダクトだけではない」と強調する。

 同社が運営する睡眠専門メディア「SleepediA(スリーペディア)」は、西野氏を筆頭に多数の医師が協力し、専門的な観点から睡眠に関する記事を多数公開している。また、NTT東日本と共同で「睡眠偏差値forBiz」という健康経営サービスを展開。これは従業員の睡眠状況を可視化することで、プレゼンティズム(心身の健康上の問題で従業員のパフォーマンスが上がらない状態)の改善につなげるものだ。

ブレインスリープ 最高経営責任者(CEO)の道端孝助氏
ブレインスリープ 最高経営責任者(CEO)の道端孝助氏
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「保険の窓口ならぬ眠りの窓口を展開するのが理想」

 その上で、道端氏は今後の事業戦略について「現在はプロダクトが主力だが、来年に向けて医療・研究との連携、新たなサービスに注力していく」と語った。医療では、2022年半ばをメドに睡眠外来のクリニックを開設予定。睡眠時無呼吸症候群(SAS)や睡眠障害、歯ぎしりやいびきといった睡眠にまつわる悩みを対象とする。クリニックと並行して、睡眠に関する研究所も設立する。

 睡眠に関する悩みを気軽に相談できる場を全国に展開するプランも明かした。「研究成果をもとに睡眠アドバイザーのような人材を教育し、保険の窓口ならぬ眠りの窓口を展開するのが理想」(道端氏)。

 新サービスの主軸は、睡眠アプリの開発となる。単なる睡眠データの計測にとどまらず、データを活用して睡眠改善に資する行動変容につなげるのが目標だ。行動を起こす仕掛けには、独自ポイントによるインセンティブ、専門家の知見を集約したチャットボットによる相談などを想定する。

「脳と睡眠を科学する」ことを掲げる
「脳と睡眠を科学する」ことを掲げる
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 「まだまだ日本では睡眠の重要性が認識されていない。脳と睡眠を科学することは、ブレインスリープにとって重要なミッション。我々は睡眠の質を向上しながら、“いかに脳の健康をサステナブルに守っていくのか”を念頭に置いて事業を進めるつもりだ」(道端氏)

(タイトル部のImage:小口 正貴)