医療情報の利活用推進と個人の情報保護を両立させる「医療情報基本法」(仮称)の制定に向けた議論が進んでいる。法案策定を目指しているのは、国会議員や医療関係者らで組織する「健康・医療・医学の総合政策に関する研究会」。議員立法により、2021年の通常国会で法案提出することを目指しているという。

現行法の課題解決を図る

 医療情報は改正個人情報保護法で要配慮個人情報に定義された。医療情報を医療機関外に持ち出す場合には、目的を明確にして患者本人の同意を得ることが必要になった。地域医療連携ネットワークを利用した患者連携に際しても、厳格な同意取得が求められるため、「地域医療連携ネットワークの構築に投下した補助金の割に、参加している患者が少ない」。前述の研究会で政策提言部会の代表を務める山本隆一氏(医療情報システム開発センター理事長)はこう指摘する。

「第39回 医療情報学連合大会」(2019年11月21~24日、幕張メッセ)で「医療情報基本法」(仮称)の策定背景と法案のポイントを発表する医療情報システム開発センターの山本氏(写真:Beyond Healthが撮影)

 改正個人情報保護法を受け、医療分野の個別法として次世代医療基盤法が2018年5月に施行された。同法では、事前通知によって患者に拒否されない限り、医療情報を第三者提供できるようになった。ただし、厳しい条件での情報の匿名加工が前提であり、希少疾患や個人を特定しうる可能性がある画像情報の利用は難しいという。

 山本氏は、こうした現状では、医療の発展に必要な情報の利活用が進められないとする。そこで、検討を進めているのが医療情報基本法というわけだ。