「未病・予防 ~苦痛のない未来のために~」。こう題したセッションが、「HIMSS & Health 2.0 Japan 2019」(2019年12月9~10日に東京都内で開催)で実施された。

 モデレーターは、同友会 産業保健部門 産業医の大室正志氏が担当。パネリストには、次の5人が登壇した。医師の立場から聖路加国際病院 循環器内科/QIセンターの水野篤氏、投資家の立場からコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)のMTG Venturesで代表取締役を務める藤田豪氏、スタートアップの立場からメディカルフォトニクス 代表取締役の飯永一也氏、PREVENT 代表取締役の萩原悠太氏、キャンサースキャン 代表取締役の福吉潤氏が登壇した。

モデレーターを務めた同友会 産業保健部門 産業医の大室正志氏

採血することなく血中脂質を計測

 今回のディスカッションにあたって、大室氏がまずキーワードとして挙げたのは「侵襲」。

 パネリストとして登壇したメディカルフォトニクスは、採血することなく血中脂質を計測する方法として、光で静脈血を測定する非侵襲濁度計「スマートニゴリチェッカーCaLighD(キャライド)」を開発している。同社の飯永氏は「今後は競合が増えるはず」と見る。

メディカルフォトニクス 代表取締役の飯永一也氏

 医師の水野氏は「痛くない」ことの重要性を指摘、非侵襲によるさまざまなバイタルサイン測定技術に注目しているという。非侵襲での血圧や脈拍の測定はすでに実例があることから、今後は「非侵襲による血液検査」の可能性に期待を寄せた。

 藤田氏は投資家目線で、「メディカル(医療)はヘルス(健康)よりも収益性が出るまでに時間を要する」ことに着目。民間のベンチャーキャピタルはメディカル系のスタートアップに「手が出しにくい傾向にある」と説く。ただし、最近では長期スパンにも対応できるCVCが増えていることから、メディカル分野でも「資金は調達しやすくなっている」と補足した。

MTG Ventures 代表取締役の藤田豪氏

 メディカルフォトニクスは、前出の非侵襲濁度計を自治体向けに販売していく方針。将来的には、自治体だけでなく「リテラシーの高い個人にも使ってもらいたい」(飯永氏)との考えもある。ただし、「アプリ内で数値は提示できても医療的な指示は出せないことから、自治体などの保健師や栄養士と連携を取る予定だ」と付け加えた。