宇宙と地上の生活課題には「共通点も多い」

 一方で中島氏は、宇宙と地上の生活課題には「共通点が多い」とも指摘する。例えば、宇宙での「筋力や骨が衰える」「水や生活物資が限られる」「閉鎖隔離環境」「生活(体内)リズムの変化」といった課題は、地上における「運動不足・フレイル・寝たきり」「アウトドア・災害時・水不足」「外出自粛・テレワーク」「昼夜逆転の生活・時差ボケ・睡眠障害」といった課題にリンクする。このように宇宙と地上では共通点も多いことから、宇宙と地上双方の課題を解決する「デュアルユーティライゼーション」な製品・サービスを創出することで、宇宙と地上双方の「暮らしのQOLをより高めていく」(中島氏)。

 こうしたTHINK SPACE LIFEの取り組みを実現すべく、民間企業や研究機関などの新規事業・イノベーション創出を後押しするのが「THINK SPACE LIFEプラットフォーム」である。このプラットフォームでJAXAは、主に「インキュベーション活動」と「コミュニティ活動」を通して参画企業などをサポートしている。

 インキュベーション活動では、「事業アイデア創出のワークショップ」「メンタリングなどのアクセラレーション」などを実施するとともに、「地上実証の場」などを構築。またコミュニティ活動では、現在30社79人が活動しており、「情報収集・知識獲得を目的とした勉強会」や「メンバー間の交流を通した企業同士のコラボレーション」などを進めている。

 そのほか、2020年からは「国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙飛行士が使用する生活用品」のアイデアを募集する取り組みもスタート。2020年7~9月で募集した第1回目では94件の応募があり、その中の9件が搭載予定品として選定された。

 搭載予定品にはワコールの「靴下」、花王の「洗髪シート」、マンダムのボディペーパー、久光製薬の「固定テープ」などが挙がっており、中島氏は「よく知られている企業が、宇宙分野にも多くかかわってきている」と補足。各製品は2022年以降、若田宇宙飛行士がISSに搭乗する際に使用される予定だ。