慶応義塾大学医学部が主催する「第4回 健康医療ベンチャー大賞」の決勝大会(2019年12月に東京都内で開催)では、学生部門がGramEye、社会人部門はグレースイメージングが優勝を勝ち取った(関連記事)。その審査の間、会場内で「若手アントレプレナーから見た、大学発でベンチャーを起業する意味 -大学との繋がりをどう活かすか-」と題したシンポジウムが実施された。

 モデレーターを務めたのは、本大会の実行委員長である田澤雄基氏。演題にもある若手医師のアントレプレナー(起業家)として、フリクシー 代表取締役の吉永和貴氏とデータック 代表取締役の二宮英樹氏が登壇した。

シンポジウムの様子(写真:宮川 泰明、以下同)

 フリクシーは問診票作成サービス「メルプWEB問診」を開発、運営している。紙の問診票では来院してから記入に時間がかかり、電子カルテを導入している医療機関では後から転記する作業が発生するなど手間が多い。メルプWEB問診を利用すると、患者が来院前にアプリで入力し、医師はBluetoothを使って電子カルテに内容を転送できる。現在、200ほどのクリニックが導入しているという。

 データックはデータ解析を手掛けている。医療データベースの構築や研究解析、電子カルテの構造化など医療言語を処理する技術を開発。二宮氏は「データを使って医療の標準化を進め、病院や医師によって治療が異なる状況を変えたい」としている。

 両氏は起業家という共通点はあるものの、起業の経緯は大きく異なる。

 フリクシーの吉永氏は医学部卒業後の臨床研修中、米国でコンピューターサイエンスの修士を取得する予定で準備を進めていたという。しかし受験に失敗し、これからどうするか考えた時、臨床を通して課題を感じていた問診に関するサービスで起業することに決めた。

フリクシーの代表取締役、吉永和貴氏。慶應義塾大学医学部を卒業後、3年目にフリクシーを創業した

 データックの二宮氏は東京大学の医学部を卒業し、一度就職したものの自身の専門性の不足を感じて退職、データ解析の会社に転職した。その後慶応義塾大学医学部に入り直し、2018年に在学しながらデータックを立ち上げた。