■自社の強み

「最新の声」を拾いサービスに生かす

 最大の強みは、さまざまな専門家がきちんと対応している点。儲けようと思えば、サプリメントを扱えばすぐにできる。ひどいものだと、「これを飲めば妊娠できる」といった宣伝文句のサプリメントもある。でも、それが本質的な解決につながるかどうかは疑問だ。何が最も真っ当な対応なのかを常に考えている。

 ファミワンでは不妊症看護認定看護師と臨床心理士の2人が正社員で、臨床経験も豊富。臨床心理士は今でもクリニックに週一回勤務しており、そこで患者の声を聞きながら、最新の患者の考え方を踏まえたうえでサービスに生かしている。そのほかのアドバイザーとして、全国に業務委託の看護師がいる。

 最新の患者の思考を大事にするのは、10年前、20年前とは社会背景が異なるためだ。かつての経験者であっても今の妊活・不妊経験者とでは明らかに考え方が違う。何しろ、創業した5年前は妊活・不妊という言葉ですら一般的ではなかった。現在は20代後半ぐらいから子どもがほしかったら体外受精ありきと考える人も少なくない。また、仕事との両立が大変だと刷り込まれすぎて、産むべきかどうか迷っている人たちも多数いる。

 男性もかなり変わった。それこそ5年前でも男性が精子の検査に行くことはすごく恥ずかしいとの認識があったが、その意識もだいぶ変わってきている。私自身の体験だけに頼っているとどうしても古くなってしまう。なので医療機関に来ている患者と、実際にファミワンを使ってくれている未受診の人たちの声をどんどん反映させていかなくてはならない。

 2018年にはフジテレビのドラマ「隣の家族は青く見える」の監修を担当した。ドラマの監修は世の中に対する妊活の啓発には大きな意味があったが、直接的な売上を目的にしたものではない。

 2019年からスタートした東京大学医学部附属病院との「生活習慣が妊活に与える影響」を解明する共同研究にしても同じ(関連記事)。でも妊活への意識向上のためにそこはやるべきだと考え、チャンスがあればコラボレーションしている。その感覚は大事にしていきたい。