自宅で尿を採取して郵送、その検査結果から自分に足りない栄養素を可視化する。そんなサービスを業界に先駆けてスタートさせたユカシカド。2020年3月には長野県松本市との連携事業を開始、新たな展開を続々と打ち出す構えだ。同社 代表取締役 CEOの美濃部慎也氏に話を聞いた。

今回訪問したのは、東京・渋谷区にあるオフィス。本棚には「栄養」に関する本がズラリと並んでいた(写真:川島 彩水、以下同)

■起業のきっかけ

新興国の旅とアメフト経験がシンクロ、「栄養」で起業

 幼稚園の時、僕がバザーで群を抜いて販売していたらしく、そこに来ていた某有名スポーツショップの社長に「この子は経営の才がある」と言われた記憶がある。曽祖父が貿易の会社を経営し、祖父が専務を務めていた関係で、経営が身近な環境だったことも影響している。

代表取締役 CEOの美濃部慎也氏

 実際に経営を意識し始めたのは関西学院大学の学生時代だ。アジアの新興国を旅して回ったのだが、我々が想像する以上に衣や住、娯楽、情報などの基本的なライフラインは足りている。もちろん、食に関してもマーケットには安くて栄養豊富な食材が並んでいる。でも子どもたちは砂糖たっぷりのお菓子や油たっぷりのジャンクフードを選択してしまう。

 ここに大きな課題を感じた。しかもこれは新興国だけではなく世界共通の課題でもある。それがトリガーとなり、健康を支えるための栄養改善サービスを提供したいと思うようになった。

 もう1つのトリガーは、高校、大学と続けてきたアメフト。関西学院大学ではトレーニング、戦略、栄養などの先進的なデータを米国の有名大学から独自に入手しているが、その中で栄養だけが経験に即した実地データであり、まだまだ科学的な改善余地があることに気付いた。ここで、新興国での経験がシンクロした。

ユカシカドの概要(表:同社への聞き取りを基にBeyond Healthが作成)

 ただし、大学を卒業してすぐに起業したわけではない。仮に僕の全財産をはたいて起業しても、影響の範囲と継続の期間は限定的。環境を一気に変えるには、きちんとした組織を作って取り組んだほうがいい。そんな思いを尊敬していた大学のアメフトのコーチに相談したところ、コーチの奥さんがたまたまリクルートにいて「社会経験や経営を勉強する観点からもリクルートは適している」とアドバイスされた。

 新卒でリクルートに入社した。出向を含めてリクルートには7年間在籍し、多くのことを学ばせてもらった。その後、満を持して2013年3月にユカシカドを設立した。