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着目したのは「海馬」

 「BrainSuite(ブレーン スイート)」というソフトウエアプログラムが事業の中心になる。脳の健康状態の測定と、将来の認知症予防のためのアドバイスをセットにした。プログラムには3本の柱がある。第1がMRIで撮影した脳MR画像解析、第2がオンライン問診と認知機能テスト、第3が生活改善のアドバイスを示す結果レポートだ。これらを組み合わせて脳の健康状態を精緻に可視化する。

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 第1の脳MR画像解析では独自開発したAIの「Hippodeep(ヒポディープ)」を活用する。私たちが着目したのは、脳内にある海馬。海馬は脳内で神経新生、すなわち、神経の生まれ変わりが起きる数少ない部位である。継続的な運動習慣などは神経新生を促すものの、不健康な状態だったり、ストレスがあったりすると神経新生が起きずに萎縮して記憶障害が出やすくなってしまう。

 Hippodeepは東北大学加齢医学研究所のデータを含む2万5000例に及ぶMR画像を教師データとして開発したもので、数十秒で海馬体積を測定する。しかも900例ほどの解析で全例成功した実績があり、脳科学研究のデファクトスタンダードと比較して非常に高速・高精度な解析手法となっている。

 健康脳維持の指標として、若い世代も含めた健常者のデータベースを加えたことも1つの特徴だ。20〜80歳まで、約3300例の健常者の脳MR画像を横断的に蓄積し、そこに約8年分/約400例の同一被験者の縦断データを盛り込んだ。これにより、個人の属性や生活習慣がどのように脳に変化をもたらすかをより客観的に見える化できるようになった。

 第2のオンライン問診では通常の問診に心理テストを付加。認知機能テストには、FDA(米国食品医薬品局)が承認した「CANTAB(キャンタブ)」を採用した。問診の心理テストによって認知症リスクに関係する運動、食事、睡眠、コミュニケーション、趣味などに対するヒアリングを行ない、認知機能テストによって短期記憶や注意力、作業記憶などを評価する。

 第3の結果レポートでは、脳の健康状態がS〜Dのランクで示され、同世代と比べた海馬の体積、認知機能への影響、脳健康活動の分析、10年後の海馬体積目標など詳細な解析結果を提供する。それとともに運動、食事、睡眠などの5項目から生活習慣の改善をアドバイスし、行動変容を促していく。Web上に会員ページを設け、継続的に受診者をフォローアップする仕組みも構築した。

 当然だが、普通に生活していれば海馬の体積など気にすることはない。だが、可視化することで自分の脳の状態に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけになる。まずは興味を持って行動することが大事。そうすれば一人ひとりの脳と体が健康になり、結果的には医療費・介護費などの社会保障費の抑制につながるはずだ。