サービスの現状と課題

シーズ起点という大学発スタートアップの課題を克服する

 2021年4月、フィリップス・ジャパンと業務提携を結んでBrainSuiteの本格的な販売を開始した。脳ドックのオプションサービスとして全国の病院・クリニックでの展開を予定している。

 フィリップスと東北大学加齢医学研究所は2009年からMRIの導入で付き合いがあり、その後もfMRI(脳機能イメージング)の共同研究を行なうなど良好な関係を築いてきた。大学発スタートアップはどうしてもシーズオリエンテッドになり、世間が求めるものとかけ離れたニーズを深堀りしてしまうケースが多い。私は研究者、医師としてはスペシャリストだが、ビジネスに関しては門外漢。せっかくの素晴らしい研究成果を世の中に流布させるテクニックは持っていない。そこでオープンイノベーションに注力するフィリップスこそベストパートナーだと考えた。

 業務提携を機に一気に拡大する計画だが、2つの大きな課題がある。1つは脳ドックという検査のハードルだ。現状は脳MRI検査ありきのサービスのため、個人が興味を持って受けたいと思っても医療機関が導入していないと受けられないジレンマがある。先日、大々的にBrainSuiteの記者発表会を開いたのは、マスに向けてはもちろんのこと、医療機関に向けてのアピールでもある。

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 もう1つの課題は、やはり個人の行動変容の難しさ。会員ページのフォローアップや生活改善のアドバイスのみならず、例えば「ポケモン GO」のような行動を起こす仕掛け、ゲーミフィケーションが必要になるかもしれない。ご存じのように、恩師の川島隆太教授は任天堂の「脳トレ」シリーズの監修者であり、企業との関係性やサービスの拡充に関して柔軟に対応してきた。私もその背中を見て育ち、研究以外の部分でもたくさんのことを学んだ。それゆえ、サービスにとって良いと思えるものはどんどん採り入れていきたい。