サービスの現状と課題

パートナーとなる自治体を動かす

 現在、福岡県、東京都、横浜市、札幌市で事業を展開している。1万5000件近くの介護事業所データを所有しており、各地域で差はあるものの80~95%のカバー率になる。今年は大阪市でも事業を開始する予定なので、さらにシェアは増えるだろう。

 ミルモネットが必要とされるのは、基本的に政令指定都市などの大都市。なぜなら介護事業所が密集していて効果的に選択できない課題は、大都市特有のものだからだ。マーケットが小さく移動距離が多い地方都市の場合はマネタイズが難しい。自治体が主体となってミルモネットを利用してもらうモデルになるのではないか。例えば税金を投入してインフラとして利用するようなパターンが想定される。

 だが大都市にしろ、基本的に自治体連携のビジネスモデルであることは変わらない。民間企業だけでやろうとすると、保守的な業界だけに角が立つ。むしろシステム開発よりも、いかにサービスを浸透させていくかが難しい。自治体の協力は必須となる。だから私は政策提言をしたり、市長や知事を表敬訪問したり、いろんなロビー活動を積極的に行っている。

2019年3月に実施された研究協定締結式の様子。中央が横浜市長の林文子氏。その右がウェルモの鹿野氏(写真:Beyond Healthが撮影)

 そうした努力が実り、2019年3月には横浜市、ツクイ、富士ソフト、ジェイアークと「介護分野におけるオープンイノベーションによる課題解決に関する研究協定」を結んだ。横浜市が全事業所に通知を出すなど、とても協力的に進めている。

自社の強み

プラットフォームと自社開発AIの両輪で

 最大の強みはデータを活用したプラットフォーム。介護事業所に関するこれだけのデータをそろえ、なおかつ地域のことを熟知している企業はない。すべてを自社開発している技術力の高さもポイントだ。

 情報のデータベース化には6年ほど前から取り組んだ。介護業界はいまだにFAXや紙資料に埋もれるアナログな世界であり、我々も事業所に地道に電話をかけてコツコツと情報を収集してきた。

 介護で非常に大切なのは、どの事業所に任せるかということ。どれぐらいの質を担保できるか――拠り所とする情報がなければ、事業所選びも「知っているところを薦めよう」となってしまう。しかしそれは決して利用者本位ではなく、結果的に利用者が不幸になってしまう可能性が高い。こんなにディテールまで拾い上げているのは国内唯一だろう。サービス自体はスマートなイメージかもしれないが、泥臭くやってきた。

訪問した日は、夜に歓迎会が企画されていたようだ(写真:川島 彩水、以下同)

 社員のパーソナリティがバラエティに富んでいることも特徴だ。元官僚がいたり、知事への挑戦を蹴ってウェルモに入社したり、医師がいたり。AIをずっとやってきたエンジニアもいれば、もちろん介護業界出身の人間もいる。見事にばらばらで動物園のようでもある。

 介護には多職種連携が求められるので、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちの知見は貴重だ。ただ、グローバルな視点とローカルな視点を持つメンバーが多いのは共通していると思う。