サービスの概要

多拠点運営に向け、自社で医療と業務システムを構築

鶴谷 キャップスクリニックはチェーン展開を前提に設計している。日本では病院のチェーンはあるが、本格的なクリニックのチェーンはない。日本の医師は約32万人おり、そのうち約10万人が開業医だが、これはほぼクリニックの数と同じ。言うなれば1人1拠点経営している計算になる。

 これはかつての“町の酒屋”と似ている。だが、1970年代、80年代に比べると社会は年中無休のライフスタイルに変化し、いつの間にか酒屋はコンビニチェーンに組み込まれている。いま、共働き世帯が約6割と言われる中で、クリニックは生活者のニーズに合っていない。その課題をクリニックのチェーン化で少しでも解決したい。

 実現に向けては医療、人事、採用を含めてすべてシステムを共通化し、最初からチェーンオペレーションを前提に仕組みを構築する必要がある。医療機関を運営しながら、医療現場やバックグラウンド業務で動くITシステムを自社で作ることによって、常に最新のニーズに合わせて動けるようにしている。これを「クリニックチェーンマネジメント」と名付け、多拠点運営の支援に活用するのが特徴だ。コロナ禍においてもさまざまな要望を聞いてアップデートを行ない、現場のオペレーションと患者の負荷軽減を両立した。

金谷 私は全拠点の統括、医師をはじめとするスタッフのマネジメントを担当している。わかりやすい例としては電子カルテの例がある。一般的な電子カルテは単独のクリニックで利用する仕様のためチェーンオペレーションには向かず、用途も医療情報の記録に特化している。だが、我々が開発している「Clinic Information System」は、クラウド電子カルテシステム、オンライン予約・問診システム、患者満足度などの各種KPIシステムなどから構成され、オペレーション効率化を目的とした。

医療法人社団ナイズ 本部長の金谷義久氏
医療法人社団ナイズ 本部長の金谷義久氏
[画像のクリックで別ページへ]

 見やすさ、使いやすさにもこだわっており、電子カルテを起動すると患者が院内のどの場所で待っているのかがひと目でわかる。カルテを閉じると管理画面上に「診察終了」が表示されるので、それを見て院内アナウンスで移動を促す。このようにして待合室での滞在時間の短縮や円滑な診療に役立てている。

鶴谷 実はあまりに効率化が行き過ぎると患者の満足度とトレードオフになるのではないかと懸念していた。それもあって、毎回診察後に渡すiPadやスマホで満足度調査を実施している。そのデータを当社のデータサイエンティストが分析したところ、時間が短いほうがむしろ満足度が高いとの結果が得られた。キャップスクリニックは英国で言うところのゲートキーパーであり、まずは手際よく論理的な説明を受けて、もっと大きな病院に行くのかどうかの結論を出したいと考える人が一定数いると推測される。内科を併設しているとは言え、小児科がメインだけに高齢者よりも壮年層の患者が多いことも影響しているのではないか。iPad問診や合理的な診察システムにも抵抗がないようだ。