東京大学大学院医学系研究科 健康空間情報学講座 特任准教授の脇嘉代氏が、「ビッグデータは医療の何をどう変えるのか」と題したセッションに登壇。生活習慣病患者を対象としたICT/IoTを用いた自己管理支援がもたらす臨床効果、モバイルアプリケーションを治療に活用する際の課題などについて講演した。

講演する脇氏(写真:森田 直希)

 脇氏らは、糖尿病予防を目的としたモバイルアプリによる自己管理支援システムを開発し、健康増進における効果を検証する臨床研究を実施してきた。開発したアプリ「DialBeticsLite」では、体重・血圧・血糖値などデータと、食事内容や活動量(歩数)などの生活習慣に関するデータを登録すると、生活改善に向けたアドバイスが自動でフィードバックされ、必要に応じて糖尿病専門医や糖尿病療養指導士による指導が受けられる。

 健康経営という側面で共同研究企業の社員に対して、このアプリの効果を調べる臨床研究を実施したところ、BMI値と腹囲、内臓脂肪の値が有意に低くなった。「日常生活のデータが可視化されるため、自らの生活習慣に対する意識が高まり、自己管理を支援できることが分かった」(脇氏)。また、データが蓄積されると、効果が出る人と出ない人を早い段階で予測することも可能になったという。「効果が現われない人を早期に発見でき、介入の仕方で効果を高めることも可能だと分かった」と同氏は言う。