「ビッグデータは医療の何をどう変えるのか」。こう題したセッションに、帝京大学医療情報システム研究センター 教授の澤智博氏が登壇。これからの医療情報システムの理想の形は、「ラーニングヘルスケアシステム」だと述べた。

講演する澤氏(写真:森田 直希)

 ラーニングヘルスケアシステムは、学習機能が組み込まれたヘルスケアシステムのこと。診療活動をすべてデータ化し、収集・分析することによりエビデンスや新しい知見を抽出して医療者にフィードバックする医療システムである。

 澤氏は、ラーニングヘルスケアシステムの有用性を次のように説明する。「良い結果をもたらした医療行為のエッセンスを抽出・分析・フィードバックする仕組みによって、どの医療者も同じように最良の医療実践が可能になる。同様に悪い結果を招いた医療行為だったケースも分析・提示すれば、再発防止が可能になる」(同氏)。

 その構築で重要になるのは、「医療の質を自動的かつ継続的に計測すること」(澤氏)。同氏は一例として、米国Center for Medicare & Medicaid Services(CMS)の臨床指標に基づく病院格付けの例を挙げる。この仕組みでは、全米4000以上の病院それぞれから約100項目の臨床指標を自動的・継続的に計測・収集し、ベンチマークできる基盤を構築している。

 ラーニングヘルスケアシステムの利点は、診療の質向上だけにとどまらないと澤氏は言う。「日々発生する臨床データを分析できる環境は臨床研究を促進する。また、システムから抽出したエビデンスや新たな知見は、診療ガイドラインに生かされる」(同氏)。

(タイトル部のImage:森田 直希)