まずは、医師と患者の十分な信頼関係の構築

 一方、精神科領域ではオンライン診療に関する歴史がある。「診断精度、治療効果、患者の満足度に関するエビデンスは比較的そろっていると言える」と、慶応義塾大学医学部 精神・神経科学教室の岸本泰士郎氏は話す。

慶応義塾大学医学部 精神・神経科学教室の岸本泰士郎氏

 例えば、うつ病患者に対してオンラインと対面診療における無作為比較化試験を実施し、治療効果および治療の脱落について検証したスタディーでは、両者の治療群で有意差はなかったという。また、テレビ電話を用いた認知症検査と対面検査を比較した臨床研究では、オンラインでも問題なく行えることが確認できたとした。

 しかしながら、岸本氏自身がオンライン診療を行った当初は、対面診療と様子が違うことに不自由さを感じたという。「対面診療では患者が診察室に入ってくる様子や、対話している間も全身を観察しながら総合的に判断している。オンライン診療ではそうした情報がかなり制限されるのは事実」(同氏)と語る。

 それでも、医師と患者の相互信頼があり、何でも言えるような状態が確立している場合には、「診療の質が落ちるという印象はない」と岸本氏は指摘する。医師と患者が十分に信頼関係を築くことが、対面診療と同等の質を担保する条件の一つと言えそうだ。