改善が求められる制度上の課題

 オンライン診療がなかなか普及しない要因としては、診療報酬制度上の課題も大きい。加藤氏は、「90日処方をしているような、病状が安定している患者に対してオンライン診療を行えない弊害が起きている」との現状を指摘する。

 その理由は、診療報酬の「オンライン診療料」を算定するための厳しい要件にある。具体的には、まず、連続する3カ月間に1度は対面診療を行っていること。そして、対象患者は特定疾患療養管理料、てんかん指導料、糖尿病透析予防指導管理料など10の管理料のいずれかを算定しており、最初の算定から6カ月は毎月対面診療を行っているか、直近12カ月以内に6回以上の対面診療を行っていること、などの要件がある。

 90日処方は、基本的に3カ月に1回の通院時に処方するもので、年間では4回の対面診療ということになる。つまり、「12カ月以内に6回以上の対面診療」という要件を満たせないというわけだ。

 同様に、制度上の課題は精神科領域でも生じていると岸本氏は指摘する。例えば、精神科に通院していた妊婦患者が里帰り出産する際、あるいは通院していたサラリーマンの患者が実家で静養することになった場合などにオンライン診療で継続治療するケースがある。こうした患者は、新設された診療報酬では算定要件外となる。

 「精神科領域では非常に限られた患者が対象になったため、こうした患者のオンライン診療が保険で対応できなくなった。多くの患者が自費診療でオンライン診療を実施しているのが現状だ」と岸本氏は言う。医師と患者双方の声を交えながら、どのような制度が最良か積極的な議論が必要だと訴えた。