医療従事者や患者の行動をトラッキングし、患者のバイタル情報測定などを常時行えるようにする――。名古屋大学医学部附属病院は、そんな仕組みによって院内の効率化と安心安全な医療を提供する「スマートホスピタル」構想の実現を目指している。同病院 メディカルITセンター センター長の白鳥義宗氏は「ビッグデータは医療の何をどう変えるのか」と題したセッションに登壇し、その取り組みの一端を紹介した。

講演する白鳥氏(写真:森田 直希)

 スマートホスピタル構想への第一歩として、同病院では2018年1月に新たな病院情報システムを稼働させた。同病院としては第7次のシステムとなる。

 これにより実現したのは、夜間のロボットによる薬品や検体の搬送システムの稼働や、医療従事者の位置情報のリアルタイム測位、医療器具の使用状況モニタリングなどだ。「看護師の持つスマートフォンで位置情報を把握し、想定した移動ルートと実際の動きを照合したり、手指消毒用ポンプの使用状況を遠隔モニタリングしたりすることで、医療従事者の行動評価を行っている」(白鳥氏)という。

大学再編も見据えた戦略

 この第7次病院情報システムでは、100以上ある部門システムや、診療科ごとにばらばらだったシステムを一元化し、院内のデータ統合を果たしたことも大きな特徴だ。さらに今後は、院内だけでなく大学病院同士、地域医療機関などとのデータ統合を見据えていくという。

 その前提として、2018年末に名古屋大学と岐阜大学が発表した「東海国立大学機構」の設立がある。ここでは、両大学の附属病院で電子カルテシステムを統合し、地域一帯の医療機関と共同で東海圏の地域医療を担ってくことが議論されているという。「(銀行が統合再編で)メガバンクが生まれたように、大学も生き残りのための統合戦略が必要だ」と白鳥氏は訴えた。

(タイトル部のImage:森田 直希)