想像を超えたアプリの力

 実際の口腔内の細菌をモデルにした「マウスモンスター」たちと歯ブラシで戦い、やっつけた相手を「モンスターブック」(図鑑)に集めていく—歯磨き知育アプリ「MOUTH MONSTER」はモンスターを倒してカードを集めるゲームに夢中な息子にはまさにピッタリ。5000円(税別)という価格はなかなか手痛いが、冒頭の友人のケースのように20年以上に渡って恨まれるのも困ると、思い切って購入した。

  “ゲーム感覚で歯みがきできる”とする「MOUTH MONSTER」(動画:ClubSunstar)
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 その破壊力たるや、私の想像を軽く超えていた。まず、歯磨きの時間がきっちり3分確保されるようになった。同アプリのゲームには1分と3分のモードがあるが、息子は3分を選ぶのが普通で、途中で止めることもなく必ず3分間磨き続ける。あんなに何度言っても数十秒で「おしまい!」だったのに、これならやるのか…嬉しさとバカバカしさが同時に込み上げてきた。

 そして、ちゃんとブラッシングするようになった。ブラッシングの動きはマウスモンスターへの攻撃となる。動きが大きすぎるとバロメーターが赤くなり、強すぎると警告画面が出てゲームが止まる。高得点を叩き出すには優しく細かくブラッシングするしかない。以前はどんなに頑張って説明しても「ゴシゴシ」の2回で終わっていたのが、点数欲しさに必死で優しく細かくブラッシング—そんな姿を見るとちょっと複雑な心境になる。

 加えて、奥歯や歯の内側なども磨くようになった。ゲームの画面では口の中を模した空間をマウスモンスターたちがあちらへこちらへと動き回る。それを追うように自分の口の中で歯ブラシを動かして攻撃する。私が見る限り、口の中を上下と左右前に6分割し、そこをマウスモンスターが移動するのは分かるものの、歯の噛み合わせ側と内側、外側の区別はあまりつかない。息子に聞くと特に気にしている訳ではなく、気分か直感に基づいて磨いているだけのようだが、それでもある程度は全体的に磨けているようだ。磨いた場所のチェックは連動する「MOUTH LOG」から確認できる。たまに私が磨き残しを確認しているのを見て、息子は毎回自分でMOUTH LOGを確認して「BAD」と赤く表示される部分を追加で磨くようになった。

 新しいマウスモンスターに出会いたいと、歯磨き自体にもがぜん積極的になった。モンスターブックでは倒したマウスモンスターのイラストと元となった細菌の説明などが入った紹介文が見られるようになる。歯磨き後には「やったぁ!今日はnewのモンスターだ!」などと言いながら、今までに倒したマウスモンスターたちを眺めている。歯磨き中の写真を自動で撮影してカレンダーに登録し、スライドショー形式の動画にまとめる機能もある。こうした「やったことの証」が少しずつ蓄積されていく点も、続ける楽しみになるようだ。

自動で撮影された息子の歯磨き中の写真(写真:筆者、一部を加工しています)

 こうした変化は必ずしも使ってすぐに起きた訳ではない。使い続けて数カ月経つ頃から、徐々に正しい歯磨きへと変わっていったと感じている。すごいと思ったのは、ある程度正しい歯磨きを習得できるようになるまでの間、飽きずに使い続けられるという点だ。最初は次々と新しいマウスモンスターが現れて「次は何かな?」という期待から続けるが、慣れてくる頃には新しいマウスモンスターは滅多に現れなくなり、「次こそはnewが出るかも」との期待により続けるようになる。そして徐々に「どうやったら高得点が出るのか?」と磨き方や磨く場所を工夫するようになっていく、という流れになっているようだ。