先週金曜日、治療用アプリの国内トップランナーであるCureAppの記者会見に出席した。高血圧に対する治療用アプリの治験を開始した、という会見だ。
会見の詳細は今週掲載予定の別記事に任せるとして、筆者がこの会見でヒシヒシと感じたのは「時の流れ」。時計の針を戻すこと6年。2014年に施行された「薬機法」で、診断・治療にかかわるソフトウエア(アプリ)が医療機器の対象になることが認められた。つまり、治療用アプリというカテゴリーが正式に登場した。
この年に産声をあげたのが、医師である佐竹晃太氏が創業したCureApp。筆者は当時、日経デジタルヘルスというWebメディアの編集長を務めていた。「アプリを処方する時代が本当に来るんです」――。創業間もない佐竹氏が、弊社の会議室で筆者に熱く訴えてきたシーンは、今でも鮮明に覚えている。
佐竹氏の熱量に押されたわけではないが、筆者もそう感じたし、そういう時代になればいいと思った。だから、当時担当していたWebメディアで6年前から「アプリを処方する時代へ」といった文脈の記事を数多く掲載してきた。
翻って今回の会見。高血圧に対する治療用アプリの治験開始の発表だったが、これに先駆けて同社が市場投入の準備を進めているニコチン依存症を対象とした治療用アプリの現状についても触れられた。
このニコチン依存症の治療用アプリは既に治験を終え、薬事承認・保険適用に向けた調整段階にある。「今年中に薬事承認の見込み」(佐竹氏)だという。