先日、連載コラム「ヘルスツーリズム最前線」の取材で、縄文ウェルネス博の主催者の一人で地域づくりプロデューサーの木谷敏雄さんにインタビューしました。詳細は記事を見ていただけたらと思いますが、縄文時代は1万年続いたサステナブルな時代であったこと、ウェルネスな生活で平均寿命も比較的長かったなど、なかなか興味深いお話でした。

 その一方で、「そもそも縄文時代には史実が文献として残されていませんから、絶対の再現はあり得ません。その分、自分で思いをめぐらせる楽しみがある」とのお言葉も。

 実は、2018年に東京国立博物館で開催された「縄文―1万年の美の鼓動」を見てから縄文土器・土偶に魅せられてしまい、以来、取材や観光で地方出張する時は、その地の博物館を覗いてみるのが恒例になっています。特に山梨県、長野県、新潟県は県立博物館以外にも市町村単位の小体な博物館が多数あり、縄文関係の意外な発見があります。今回は今まで訪れた博物館の中でもお薦めの場所を何カ所か紹介したいと思います。

 1カ所目は長野県の「茅野市尖石縄文考古館」。2022年時点で国宝に指定されている縄文土偶はわずか5体しかないのですが、そのうち「縄文のビーナス」「仮面の女神」の2体の国宝土偶を鑑賞することができます。ちなみに縄文土偶の最高傑作といわれる、青森県の亀ケ岡遺跡で発掘された「遮光器土偶」(東京国立博物館収蔵)は国宝ではなく重要文化財です。出土状況が分からないため、考古学的価値が評価しにくいというのが理由のようです。

 2カ所目は新潟県の「十日町市博物館」。こちらは縄文土器としては最も有名であろう、国宝の「火焔型土器」が展示されてます。火炎型土器のことをもっと知りたいのなら、同県内の「長岡市馬高縄文館」もお薦めです。出土第1号の「火焔土器」を始め、膨大な数の火焔型土器を並べて展示しているので、造形の違いを比較しながら火焔部分が時代とともにどのように変化していったかがよく分かります。

 もう1カ所、火焔型土器と比較して鑑賞したいのが山梨県の「釈迦堂遺跡博物館」の「水煙文土器」です。火焔がゴツゴツした荒々しい造形なのに対し、水煙は丸みを帯びた柔らかい造形です。もちろん、火焔も水煙も後世の学者が命名したもので、実際には縄文人が何をモチーフにして、どのような目的でこのような独創的な土器を作り出したのかは、永遠の謎なのですが。

山梨県立考古学博物館で見つけた縄文土器。「踊る棒人間」にしか見えない文様が刻まれている(写真:筆者、以下同)
山梨県立考古学博物館で見つけた縄文土器。「踊る棒人間」にしか見えない文様が刻まれている(写真:筆者、以下同)
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長野県の「井戸尻考古館」で見つけた蛙の肢趾をモチーフにした文様。半人半蛙のモチーフは日本だけでなく、ヨーロッパや中国でも見つかっているそうだ
長野県の「井戸尻考古館」で見つけた蛙の肢趾をモチーフにした文様。半人半蛙のモチーフは日本だけでなく、ヨーロッパや中国でも見つかっているそうだ
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(タイトル部のImage:arkgarden -stock.adobe.com)